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ううむ。伝わるには伝わるが……


愚直でまっとうな不動産投資の本
内容(「BOOK」データベースより)
不動産投資には、一攫千金も、裏技もありません。20年以上不動産業界で働いてきた経験と知恵を生かし、大企業の投資担当も行っているプロの手法、そして個人投資家にもマネしてほしい「まっとうな不動産投資」のやり方を伝授します。地味で堅実なこのやり方こそが10年先、20年先でも生き残る投資につながる。





不動産投資の勉強二冊目。今回はどのような内容なのか。
章題は以下の通り。

●プロローグ『なぜ今の時代にこそ不動産投資なのか?』
今の時代に、不動産投資を行う狙いについてを説明。リーマンショック後に出版されているので、やはり状況を今風に考慮した内容となっている。

●Part1『物件の選び方で成否の7割以上が決まる!』
ヒヤリ・ハットの法則、1万時間の法則といった説得力ある独特の例えを用いて、不動産選びの考え方や常識を教えてくれる。物件の選び方というよりは、物件を選ぶ際の心構えという方が正しい。これから不動産投資をするのならこういう世界に入るのだ、という精神的な部分が多いかもしれない。

●Part2『物件選びで必ず注意したいポイント』
「表面利回りではなく、実質利回り、しかも将来を見据えた実質利回り」といった当然のアドバイスから始まるも、競売や任意売却といった搦め手のような購入方法を重点的に紹介され、未経験者としてはどう捉えればよいのか悩んでしまう。参考になった点は時代に即した物件評価くらいか。

●Part3『いざ現地・物件調査で見るべきポイント』
今までのインターネットなどによる調査を済ませた後に取り掛かる、現地での物件調査について具体的に述べている。どういった点を見ればいい物件であるか、といった判断材料はもちろんのこと、「一見おいしそうな物件でもこんな落とし穴がある」といった不動産業界の罠についても書かれている。下調べが命ともいえる難しい投資だと実感させられる内容だ。

●Part4『競争力アップにつながる付加価値のつけ方』
リフォームを含め、様々な付加価値をつけ、不動産投資の競争に負けない物件作りに精を出すためのアドバイス。このアドバイス以前に、こうでもしないと選んでもらえない時代なんじゃないか、少子高齢化もあり今は始め時じゃないのでは……、と尻込みしてしまう。

●Part5『投資と大家業とセミリタイアの話』
投資全般における心構えを説く。リタイアしてどうするの?仕事を辞めたいだけ?といった目的意識に問いかける内容でもあり、投資全般に通用する大原則を教える。


本書は物件の選び方に焦点をしぼっており、「物件選びさえ間違えなかったら大きな失敗はしない」という当然の発想を元に、物件をどうやって選ぶかについてとことん教授してくれる。
しかし、それにしても全般的に内容が薄い。未経験者の自分には不動産投資の難しさ、心構えこそ伝わるが、具体的な行動や数字絡みについてはあまり触れられていない。要は精神論のような記述が多いのだ。簡潔ではあるが、具体的な投資策が見えてこない。
そういった点では、少なくとも『知識ゼロでも大丈夫!基礎から応用までを体系的に学べる!不動産投資の学校[入門編]―「お金持ち大家さんになりたい!」と思ったら必ず読む本』を読んだ方がいいと思われるし、本書が先述した本に勝っている部分はあまり見受けられなかったと思う。


評価:★★☆☆☆

愚直でまっとうな不動産投資の本
「愚直でまっとうな不動産投資の本」
 [単行本]
 著者:長谷川 高
 出版:ソフトバンククリエイティブ
 発売日:2010-11-02
 価格:¥ 1,500

 
 
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厳しい……。とても厳しいなあ……。


知識ゼロでも大丈夫!基礎から応用までを体系的に学べる!不動産投資の学校[入門編]―「お金持ち大家さんになりたい!」と思ったら必ず読む本
内容(「BOOK」データベースより)
サラリーマンなら、本気で家賃収入が入る仕組みを考えよう。








性懲りもなく、投資の勉強をしているうちにやはり辿り着いてしまった不動産。若いうちにいろいろやっとけ、というノリで勉強から始めてみた。本書は不動産投資の入門書。まさに、私のような不動産投資についてさっぱり知らない人間にぴったりの一冊と思われる

章題は以下の通り。


●プロローグ『不動産投資を始めよう!』
不動産投資の利点や強みを、株や預金といった他の運用と比べて述べている。不動産投資を全く知らない自分としては希望を抱いてしまう。

●第1章『こんなにある、不動産投資のメリット』
プロローグに加え、さらに不動産投資のメリットを具体的に挙げていく。イメージと違い、安定性があり、利回りもいいと聞いてなかなか興味が湧くが、リスク面や手続き、不動産の選択についてを読んでみないことにはなかなか喜べない。

●第2章『不動産投資のリスクに対処しよう!』
悪い物件を買ってしまう、空室リスク、滞納リスク、といった不動産投資のリスクの紹介をする。なかなか難しそうだが、対処法を知っていれば、頑張れそうな気がする。

●第3章『不動産投資の指標を知ろう』
表面利回りや、購入時や貸す時にかかる費用や税金などから計算できる実質利回りなどの指標についてを教えてくれる。指標はもちろんのこと、先述した、不動産投資の際にどういった費用がどの程度かかるのかわかるのがありがたかった。
また、減価償却費の計算といった税金対策やらキャッシュフローの計算といった資産運用に必須の部分も網羅しており、路線価や人口動態の調べ方まで、本格的に投資を始める際に、お世話になりそうな点が多い。

●第4章『良い物件をどうやって見つけるか?~物件検索、現地調査のやり方』
タイトルにあるように、物件検索や現地調査のやり方はもちろん、投資家だけでなく入居者の視点に立ってどのような点を評価すべきか、不動産屋との付き合い方、資料請求のやり方、など未経験者にとっては役に立つ情報が満載である。

●第5章『買い付け申し込み、融資申し込みの方法』
買付申し込みのルール、融資をしてもらう方法や、具体的な融資の選び方や審査基準といった縁のない人間にはさっぱりわからない部分を教えてくれるありがたい内容。しかし、本当に実際に実行してみるとなると、不動産会社や銀行を訪れないことには何もわからない。

●第6章『購入手続き・賃貸付けはこうする』
購入手続きや賃貸付けの際に、気をつけること、チェックしておくべきことなどが書かれている。さすが不動産というべきか、気にするべき事が多く、これでもかというくらい自分から働きかけなければならない点がある。

●第7章『リフォームして利回りアップ!のテクニックと裏ワザ』
リフォームをすることによる利点、またその方法論を説く。頭の隅には置いておくが、ここまで気を使う余力が初心者には無いのでは……。

●第8章『日常の物件管理・運営で注意する10のポイント』
管理運営の際、やっておくべき、知っておくべきポイントを10個紹介している。税金面、保険面、管理会社等の対応など気をつけたい部分がまとめられている。

●巻末付録『不動産投資の素朴な疑問Q&A』
タイトル通り、Q&A式の素朴な疑問集。これまで読んできた内容と重複気味。こちらから読み始めてもいいかもしれない。


私、未経験者が初めて読んだ不動産投資本。感想としては、「敷居が高いなぁ……」という一点。覚えるべき事、不動産の選択から取得、また売却まで、必要な書類とチェックするべき点が山のようにある。銀行から融資を必ず受けられるわけでもなく、その物件が決して利益を生み出してくれる物件とは限らない中で、これほどまでに労力を要するのか、という思いで一杯だ。

しかし、「不労所得のためならば、やるしかないだろう!」という気合いを入れる必要性を感じもした。大きな失敗さえしなければ、慣れてくると案外どうにかなるかもしれないし、コネも増えてくるはずだ。

それでも、本書は入門書にあたる。具体的な物件の狙いや儲け方については軽くしか触れていないような感触だ。とにもかくにも、これだけ大きな投資だけに、他にも書籍を当たってみる必要がありそうだ。本書にも書かれているようにセミナーなどを受けることがよいかもしれない。

門外漢の私が読んでみても、わからない部分はそれほどなかったという点で、入門書としては最適と思われる。まぁ一冊目と言うこともあり何の相対評価もできない。満足度的に評価はとりあえず4で。


評価:★★★★☆

知識ゼロでも大丈夫!基礎から応用までを体系的に学べる!不動産投資の学校[入門編]―「お金持ち大家さんになりたい!」と思ったら必ず読む本
「知識ゼロでも大丈夫!基礎から応用までを体系的に学べる!不動産投資の学校[入門編]―「お金持ち大家さんになりたい!」と思ったら必ず読む本」
 [単行本]
 著者:日本ファイナンシャルアカデミー 編著
 出版:ダイヤモンド社
 発売日:2008-08-01
 価格:¥ 1,680

 
 
俺、金持ちになるわ


金持ち父さん貧乏父さん
内容(「BOOK」データベースより)
本書は…金持ちになるためにはたくさん稼ぐ必要があるという「神話」をくつがえす。持ち家が資産だという「信仰」を揺るがす。資産と負債の違いをはっきりさせる。お金について教えるのに、学校教育があてにできないことを親にわからせる。そして、お金について子供たちに何を教えたらいいかを教えてくれる。





と、自分の可能性に本気を出したくなった本。

2000年に初版が発行され、未だに人気の衰えない財テク教科書の筆頭である本書。年齢的に財テクに興味のなかったこともあり、当時のブームに乗り遅れたのだが、今更ながら便乗。
それにしても、未だに増刷が続いていることに驚きである。やはり現代でも十分に通用する良書なのだ。

章立ては以下の通り。

・『いま子供たちに必要なこと』
金融教育が欠乏している日本においては特に言えることだが、今の子供たちに必要なことが何かを教えてくれる内容。いい大学を卒業し、いい企業に就職したり、医者や弁護士になったりして、あくせくと働き安定した収入を得る一般的な生活に疑問を与えられることに抵抗のある人は多いだろう。そういった本書で言う『ラットレース』という生活を抜け出し、金持ちになるためにどうすればよいか、子供にどういった教育をしていけばよいかについてこれから過激に受け取れるかもしれないロバート・キヨサキの考えを記す、とまとめている。


●『教えの書』
・『金持ち父さん、貧乏父さん――ロバート・キヨサキが語ったこと』
二人の父親を持つロバート・キヨサキが一方は金持ちになり、もう一方は貧乏になってしまった。彼らの思想、教育の指針の違いについて具体的に述べている。金持ちになるためには一体どういった考えをするのがいいのか、という簡単なところを触れており、以降に繋ぐ。

・『金持ち父さんの六つの教え』
つまるところ、金持ち父さんが何を教えようとしていたかについて六つにまとめている。詳しい内容は以降の章になる。

・第一の教え『金持ちはお金のために働かない』
自伝の物語形式。教えてくれる金持ち父さんの謎かけのような実践型講義の一部始終を読みながら、読み手側も一体何を考えているのだろうか、と思う仕様だ。この教えの意味を知るには本書を読んでいただきたい。

・第二の教え『お金の流れの読み方を学ぶ』
前章よりは教科書っぽい構成になる。なかでも、「資産と負債の違いを知る」ということは肝に銘じるべき項だと思わされた。貸借対照表や損益計算書といった会計的な話が繰り広げられるが、そこまで身構える必要はない単純明快な話だ。そのほか、中流以下の人間が勘違いしがちな点を紹介している。

・第三の教え『自分のビジネスを持つ』
マクドナルドの創始者、レイ・クロク氏の話から始まる。そして、自分のビジネスという言葉の意味を説き、築くべき本当の資産は何かを示す。

・第四の教え『会社を作って節税する』
金持ちになるための一番の敵と言っても過言ではない税金について述べ、その対策として会社の設立を提案。詳しい設立方法などについては記述していないが、ファイナンシャル・インテリジェンスという簡単に言うならばお金に関する知識を養うことを提唱する。

・第五の教え『金持ちはお金を作り出す』
タイトルの通り、お金を作り出すヒントについて述べている。「はいはい、それで成功したんですよね」と一蹴することは簡単だが、何か金持ちになるための糸口を見つけるために読者に対する働きかけをしていることは間違いない。

・第六の教え『お金のためだけではなく学ぶために働く』
働くことの意味を説く。お金を稼ぐために働くのではないということはこれまでの章でも述べていたが、もっと具体的に一般的な『お金のために働く人』がお金持ちに向いていない残念な部分について述べている。


●『実践の書』
・実践その一『まず五つの障害を乗り越えよう』
実践するためのアドバイスその1。まずはそのための障害となる五つのポイントを抑えている。たしかに、凡人が陥りがちな心理や理屈であり、そこから脱出することが肝要と思われる。

・実践その二『スタートを切るための十のステップ』
タイトルの通り。精神論だったり「それが出来りゃ苦労しないよ……」とついつい言いたくなるような内容だったりする。

・実践その三『具体的な行動を始めるためのヒント』
これまでの内容より、もっと踏み込んだ内容。株やら不動産投資やらで成功したことについて著者がどういう風に行動に移したかという点を述べている。

・エピローグ『たった七千ドルで四人の子供を大学に行かせた男の話』
具体的な成功談を紹介。これを読んで自分も頑張ろうと思うかは別。

・『いますぐ行動しよう!』
いわゆる『あとがき』にあたる。著者から読者へのメッセージだ。


出版されたのは十年前、著者の体験談はアメリカでの内容ばかり、という点で、具体的な法律問題や不動産売買でそのまんま参考にすることは出来ないが、そもそも主旨は金持ちになるための考え方であるので全く問題ない。
時期的にも、リーマンショックのような暴落についてはやはり記述されていないが、著者自身は暴落時でも心意気は変化しないように思われる。
これ系の本を嫌う原因の一つとして、やはり「損することを考慮していないのでは?」という気持ちになるものが挙げられるかもしれないが、金持ちになるのに一度も損をしなかった人はいないと述べている。失敗無き成功はない、というのは人生の鉄則かもしれない。
取り返しの付かない失敗は少なくとも若いうちはそうそう無いので、チャレンジ精神で金持ちをめざす方向性だろう。もちろん、チャレンジするに足る知識を養うことが前提であるが。
子持ちの人には、子供へのお金の教育の指針として提唱している面がある。お金に貪欲な姿勢を醜く評価しがちな風習があり、子供にいきなり本書の内容を突きつけるのも酷な気もするが、一方でそんな価値観でお金持ちへの道を閉ざすことはいささか不憫にも思える。

本書を読み、一つ言えることは、圧倒的な説得力だ。現実をよく見据えた結果、金持ちになる秘訣を記したもので、よくこれ系の本にある「これができたら苦労しない」「あんたが上手くいっただけだろ」という気持ちも不思議とそれほどない。むしろ、金持ちと凡人の違いの現実を突きつけられ、自分としては奮起するような内容であり、現在、マイホームなどの本書で言う負債を抱えていないことにありがたみを感じるほどだ。
私は最近、財テクに精を出していることもあって、本書の内容は骨身に沁みるとともに聖書のような天啓を与えてくれた。……というのは少し言い過ぎたが、実際問題共感できる部分や既に頭の中で考えていた部分が多くあり、これからの人生の指標として日々心掛けたい内容であった。

お金絡みの貪欲な姿勢を毛嫌いする人は、そもそも本書は手に取らないと思うが、少しでもお金の儲け方、お金持ちの思想に興味のある人にはお勧めしたい本。いろいろと、人生に対する考え方が変わること請け合いである。

評価:★★★★★

金持ち父さん貧乏父さん
「金持ち父さん貧乏父さん」
 [単行本]
 著者:ロバート キヨサキ,シャロン・レクター(公認会計士)
 出版:筑摩書房
 発売日:2000-11-09
 価格:¥ 1,680

 
 
『モナ・リザ』を究める!


万能鑑定士Qの事件簿IX (角川文庫)
内容(「BOOK」データベースより)
「これは贋作ではないか」かつて、ルーヴル美術館で凛田莉子が『モナ・リザ』に抱いた違和感。その直感が、莉子の人生に転機をもたらす。37年ぶりに日本開催が決まった『モナ・リザ』展。そのスタッフ登用試験に選抜されたのだ!鑑定士として認められた、初めての大舞台。莉子はこれまで培ってきた全てを注いで合格を目指すが、『モナ・リザ』の謎が襲いかかる。最大の危機、到来!書き下ろし「Qシリーズ」第9弾。




今回は日本で開催される『モナ・リザ』展で、精巧な贋作とのすり替えにも対応すべく雇われる鑑定士として抜擢される話。
主人公莉子の慧眼でも区別の付かない、本物と多数の複製『モナ・リザ』との区別をする訓練を施されながら、いざ『モナ・リザ』展へ!といった具合。
「たった一つの絵画に、これほどの奥深さがある」と思わせる表現や知識が、それほど絵画に興味のなかった自分にも伝わるところはさすがである。

具体的な内容の方だが、『モナ・リザ』展の修行で2ヶ月もこもっていた莉子に思わぬ展開が待ち受けていた。この中盤から莉子に起きる不測の事態が、かつてない展開であり、続きが気になって仕方がなくなった。
また、サイドストーリーとして、記者の小笠原の話も後々どう繋がっていくのかという点でも、気になる感じであり、退屈させないシナリオである。

作中のトリックも「無理だろう……」と感じなくもないが、フィクションとしては十分納得のいく内容で、面白い巻であった。


評価:★★★★☆

万能鑑定士Qの事件簿IX (角川文庫)
「万能鑑定士Qの事件簿IX (角川文庫)」
 [文庫]
 著者:松岡 圭祐
 出版:角川書店(角川グループパブリッシング)
 発売日:2011-04-23
 価格:¥ 540

 
 
2011年も終わりを迎えるにあたって、小説やノベル系ゲームの2011年私的ランキングをまとめてみた。
ふり返ってみて「ガッカリしたなぁ」というマイナス評価ランキングと、「こいつぁすげえ!」というプラス評価ランキングをそれぞれ発表したいと思う。


今年の小説系ガッカリランキング (今年は8作品)

・第8位『ダークゾーン』 評価:★★☆☆☆

たびたび申し上げるとおり、私は貴志裕介ファンである。不甲斐ないことにまだ全作品を網羅はしていないのだが、今年の新作ということで飛びついた。雑誌の連載作品らしく、章ごとにまとまりのある作りになっている。
ただ、内容は何とも言えない。面白いことは面白い。ホラーテイストが強く、主人公が覚えも無くいきなり恐ろしい世界に送られていたという突拍子も無い展開も徐々に今の状況を掴んでいくという展開に繋がっていて悪くはない。
ただ問題は、各章ごとの展開が予想しやすく、結末こそ予想できないが、全体的に方向性が見えない。貴志裕介氏の精細な生物学的な気持ちの悪い表現が本作のゲーム的な背景にマッチしていない感じがして、不発な印象を受けた。
これが新人作家のデビュー作ならば、もっと高評価でもよいが、貴志裕介好きの私の期待に応えるような素晴らしい作品ではなかった。

・第7位『儚い羊たちの祝宴』 評価:★★☆☆☆
ホラーと聞いて飛んできました、とばかりに書店で飛びついた作品。連作短編集なのだが、個々の話にわずかな共通点しかなく、どういったオチをつけるのかラストが楽しみで楽しみで読み進めていったはいいものの、オチがさっぱり理解できなかった。インターネットでネタバレ考察を読んでみた感じ、古参のミステリーをオマージュしたネタを散りばめているらしいのだが、そんなことわかるわけもない。
ホラー要素はそこそこあるのだが、特別パニック的な洋風恐怖感もなく、特別滲むような和風恐怖感もなく、グロテスクというわけでもない、何とも言えない作品。
短編一つ一つはよかったものも多い。ホラーなシナリオのわりに、読後に(恐怖からの解放という意味でなく)ホッとするような話もあったり、出来はいい。ただただ、オチがしっくりこないことが低評価なのである。

・第6位『探偵映画』 評価:★★☆☆☆
『殺戮にいたる病』の面白さに感激し、我孫子武丸氏の作品にどんどん触れていこうと思って購入したが、出鼻を挫かれた面白くなさ。発想こそいいかもしれないが、映画オタクのマニアックなトークが多すぎて読みづらい。結末はそこそこよかったのだが、いかんせんテンポが悪すぎて評価できない。

・第5位『検事の本懐』 評価:★☆☆☆☆

『臨床真理』でデビューしたこのミス大賞受賞作家の3作目。前作『最後の証人』のシリーズで、連作短編集なのだが、全体的に地味すぎる。検事という仕事がこんなものという以前に、読者を楽しませる要素が根本的に欠けている印象を受ける。「もっと派手にしろ」というわけではないし、筆力もあるのだが、発想や題材自体がダメだったのか、無味乾燥で淡白な印象が延々と感じられた。面白い部分もあったにはあったが、この値段を払ってまで読んで満足することはできなかった。

・第4位『ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』 評価:★☆☆☆☆

『死亡フラグが立ちました!』でデビューした作者。インパクト重視のタイトルと内容で勝負している印象があったが、今作は個人的に面白みが無かった。連続殺人事件の割りに、捜査面での進展や手がかりが少なく、『事件が起こる⇒困る⇒また事件が起こる⇒困る⇒(以下略』の単調な展開が続く。真相も特に驚きも感動も無く、動機が無茶苦茶。
本格推理やサイコホラーではないことは分かっていたので、上記の感想は論点がずれているにしても、コミカル路線にもなりきれずシリアス路線でもない中途半端な内容の上、キャラクター小説として売り出そうとしている感じがあるのに、肝心のキャラクターに個人的にまったく惹かれなかったのがガッカリ。このキャラクター、果たして読者に人気があるのだろうか、疑問である。

・第3位『しらみつぶしの時計』 評価:★☆☆☆☆

本格ミステリーの古株、法月綸太郎氏の短編集。自称ミステリー好きということもあり、好奇心で触れてみたのだが、いかんせん面白くない。というよりも、オチがわからない、作者の思考がわからないといったものが多かった。「これが本当のミステリーだ」と言われると、私はミステリー好きを名乗れない。何というか、最近のエンタメ色の強い事件系ミステリーとは一味違う感触ではあるので、好みの問題になるのだろうが、個人的には受け入れられず、どの短編の一つも面白みを感じなかった。

・第2位『真かまいたちの夜』 評価:★☆☆☆☆

スーパーファミコンでのサウンドノベルの名作『かまいたちの夜』のナンバリングを捨てて、原点回帰を主張した最新作。ボリュームが少なく、メインシナリオは圧倒的ご都合主義と、選択肢によるシナリオ分岐の自由度の無さがガッカリ。
期待していないサブシナリオの方も、結局ダメ。おふざけシナリオはお約束だが、それにしてもつまらないし、ボリュームも少ない。そもそも、このような内容ならボリュームも欲しくないのだが。値段に見合わない圧倒的ガッカリ作品。2000円~3000円の価格帯なら許せるし、選択肢による自由度や演出などによる面白さUPでゲーム性をしっかり補強していれば、多少チープな話でも良かったはず。

・第1位『永遠の0』 評価:★☆☆☆☆
主人公の祖父の戦死について調べるお話。太平洋戦争を描いた戦記ものであるが、ストーリー性が薄く、戦争や軍事関連の知識のひけらかしのオンパレード。キャラクターの個性も無く、『取材⇒取材⇒取材』といった展開は無味乾燥。取材先の人々の個性は無く、しゃべり方はほぼ同じ。しかも、話す内容が重複している部分も多いのはもちろんのこと、まったく同じフレーズがコピーペーストのように書かれている文章があった始末。
取材を通して心を入れ替える、成長する、といった要素はチープすぎる展開で、取材先の相手の不良の孫が、戦争の話を聞いてすぐに改心するような安直な進みに関しては嫌悪感を通り越して怒りさえ覚えた。
値段相応というほどのボリュームがあり、巷での評判もそこそこ良いので購入に至ったが、とてもじゃないが読むに耐えない苦痛の時間を提供してくれていた。これは私の好みの問題なのだろうか。本書を読むよりもノンフィクションの太平洋戦争の資料を漁ったほうが遥かに実りがあると思ってしまった。




今年の小説系Bestランキング(今年は8作品)


・第8位『銃声とダイヤモンド』 評価:★★★★☆

PSPのノベルゲーム。だが、交渉人が主人公で、立てこもりや人質解放など様々な状況下で交渉パートをこなすミッションがある。交渉人という仕事に人の命が関わるという重責が強く感じられる工夫はしっかりされており、ゲーム性だけでなくシナリオもなかなか面白かったといえる。

・第7位『万能鑑定士Qの事件簿Ⅵ』 評価:★★★★★

今年は『万能鑑定士Qの事件簿』シリーズを発掘した年だ。知的好奇心旺盛な私にとって相性ばっちりなこのシリーズの中でも、良かったのはこの巻である。万能鑑定士と対極に位置するようなライバル的存在万能贋作士との対決はとても面白く、一気に読めた。
人が死なないミステリーという売り文句で刊行ペースの速い本シリーズを触れたことの無い方には是非1巻から読んでみることをオススメする。

・第6位『チーム・バチスタの栄光』 評価:★★★★☆
少し前にブームになったこのミスシリーズの中でも代表ともいえる名作。さすが人気になるわけだ。医療ミステリーという比較的珍しいジャンルながら、医療関係者でもない我々に手術などの内情がわかり、トリックも医療現場ならではなのにアンフェアーなトリックでもないという絶妙な作品。
さらには登場人物の個性や役割もしっかりしており、とても印象的で魅力的な主人公たちとその捜査。読後には「デビュー作でコレかよ……」と独りごちる私であった。このインパクトの強い主人公タッグによるシリーズ化は今も続いているようで積み本消化が捗れば今後も読んでいきたい。

・第5位『隻眼の少女』 評価:★★★★☆

癖のある作品。欠点は言い出せば出てくるのだが、個人的には好きな作品。初めの話の進みこそ重たいが、徐々にページをめくる手が止まらなくなる。ありがちな宗教チックな慣習のある山村を舞台に、なぜか定期的に起こる変死。呪いなのか、あるいは殺人事件なのか。「おいおい(笑)」と言わされるような賛否両論が確実な結末は、伏線を考えながら読んでいくとなかなか面白かった。作者の性格が表れた「やってくれる」作品だ。

・第4位『ある少女にまつわる殺人の告白』 評価:★★★★★

何とも芸の無いタイトル、湊かなえ氏の『告白』の二番煎じに思える独白形式の内容。しかし、『告白』を超えた良作と思う。インタビュー形式で徐々に知れていく事件の真相。「そんな酷いことが・・・」という読者の予想を上回るこれでもかという悲劇がインタビューから重なって分かってくる感触、現実の人権問題等を掲げた社会派要素は、たしかに『告白』のようであるが、こちらに軍配が上がった決め手はオチである。
個人的にこういったオチはまさにツボであり、いい意味で気持ち悪い終わり方だ。

・第3位『13階段』 評価:★★★★★

さすが、江戸川乱歩章受賞作。ミステリー小説としての完成度が最高である。渦巻く数々の謎、推理要素の伏線はもちろんのこと、刑務に関する専門的な知識や死刑制度の問題提起といった社会派要素、非の打ち所の無い結末には感服の一言である。

・第2位『ジェノサイド』 評価:★★★★☆
第3位は評価が★5なのに対し、★4のこちらが第2位なのは、圧倒的なスケールを描ききっている話のインパクトである。あまりに濃く、あまりに深い内容と圧倒的ボリュームの割りにすぐに読みきれた面白さ。どんな話かと聞かれても、一言で応えられないほどのワールドワイドな話は、社会派の一面も見せる一方で、創薬などの専門的な知識も散見され、全てを調和させている完成度の高さ。評価が★4なのは、「このスケールのでかさで、あっさりした結末なのが個人的に消化不良だった」「タイトルと内容がイマイチフィットしていない気がする」という程度の、自分で言うのもなんだが粗探しレベルである。
一度読んだら忘れられないという点で、第3位よりも優位を付けた。

・第1位『STEINS;GATE―シュタインズゲート』 評価:★★★★★

ギャルゲーと言われても仕方ないようなゲームではあるが、SFものとしての完成度がぴか一。タイムマシンが出来てしまったらどうなるかというところをかなり深く考え、掘り下げていった印象であり、エシュロンやセルンといった現実にもあるようなものの織り交ぜ方がとても上手である。
何よりも驚くべきは伏線の回収。もはや、伏線ではない部分は無いといっても過言ではない、意外な伏線だらけであり、広げすぎた風呂敷も見事に畳む。ホラー系、ミステリー系要素も散見されるエンタメ色の強い『熱い』内容である一方、嫌悪感を抱きかねないオタク用語やネットスラング、灰汁の強いキャラクターは好みが分かれるが、読後には何もかも長所に思えた目に見えて優秀な作品。
タイムトラベルを扱った作品はいろいろあるが、個人的にはかなりオススメできる。



その他、今年読了した小説・ノベル作品

・『俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』 評価:★☆☆☆☆
・『カウンセラー 完全版』 評価:★★☆☆☆
・『鍵のかかった部屋』 評価:★★★☆☆
・『蟹工船』 評価:★★★☆☆
・『クリムゾンの迷宮』 評価:★★★★☆
・『催眠 完全版』 評価:★★★☆☆
・『STEINS;GATE―シュタインズゲート―円環連鎖のウロボロス』 評価:★★★★☆
・『失踪トロピカル』 評価:★★★☆☆
・『ナルキッソス』 評価:★★★☆☆
・『人間・失格―たとえばぼくが死んだら』 評価:★★★☆☆
・『万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ』 評価:★★★☆☆
・『万能鑑定士Qの事件簿Ⅱ』 評価:★★★☆☆
・『万能鑑定士Qの事件簿Ⅲ』 評価:★★★★★
・『万能鑑定士Qの事件簿Ⅳ』 評価:★★☆☆☆
・『万能鑑定士Qの事件簿Ⅴ』 評価:★★★☆☆
・『万能鑑定士Qの事件簿Ⅶ』 評価:★★★★☆
・『万能鑑定士Qの事件簿Ⅷ』 評価:★☆☆☆☆

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