恐怖と不安と悲しみを描く名盤
PSゲームで発売されたホラーゲーム『パラサイト・イヴ』のオリジナルサウンドトラック。
絶版につき、今や高値で取引されているので、気になっている方は即購入を勧めます。
瀬名秀明氏が書いた原作『パラサイト・イヴ』とはまた違った毛色ではあるが、おどろおどろしいホラーという点は変わらない『パラサイト・イヴ』だが、音楽が焦りや恐怖心を駆り立てる重要なファクターである。
ただ、焦燥感、恐怖感を煽るだけのホラー仕立てBGMというわけでもないあたりが好きである。
当サウンドトラックのコンポーザーである下村陽子氏の生み出すオーケストラサウンドは非常に奥ゆかしい。
ゲームの世界観にマッチする緊迫感、そしてストーリーに沿った感情が曲に乗せられている。
また自己主張の強いゲーム音楽という印象も薄く、耳に自然と入り効果的に作品を盛り上げるBGMを作っている。
<My Favorite Track>
●Disc1
・01-Primal Eyes
ゲームのオープニングムービーで流れる音楽。静かな始まりながらも、徐々にテンションを増してくる激しいギターサウンド、当ゲーム音楽のメインと言っていいであろうピアノの悲しげな旋律、この一曲だけですでに作品全体を表しているかのようなドラマチックなトラック。
・10-Main Theme (Piano Solo Version)
タイトル通り、このゲームのメインテーマである一曲。ピアノの独奏には、ひしひしと伝わる悲壮感がある。
・22-Missing Perspective
ゲームをプレイした人ならば、おそらく耳にこびりついているであろう一曲。戸惑いや焦燥、恐怖や緊張が詰まる表現力を感じる一曲。
●Disc2
・13-目覚めよと呼ぶ声が聞こえ
オルゴールサウンド。心に訴えかけてくるオルゴールの音は、単純なくせに感動を煽るいい音だと思います。
・14-Somnia Memorias
ここに来て唯一のボーカル曲。ゲームのエンディングに流れるだけに緊張が解かれた安堵感に満ちた印象である。
歌詞はラテン語。ベース、ギター、ドラムといったスタンダードな楽器を用いた曲だが、水の音、鳥の鳴き声、ウインドベルも入るなかなか不思議な一曲。夜、一人で聞き浸るのがいいムーディーな曲。
・17-Main Theme (Orchestral Version)
Disc1のピアノソロバージョンがオーケストラになった豪華バージョン。主旋律はほぼピアノ。滴る水の音がいいです。
評価:★★★☆☆