ううむ。伝わるには伝わるが……
内容(「BOOK」データベースより)
不動産投資には、一攫千金も、裏技もありません。20年以上不動産業界で働いてきた経験と知恵を生かし、大企業の投資担当も行っているプロの手法、そして個人投資家にもマネしてほしい「まっとうな不動産投資」のやり方を伝授します。地味で堅実なこのやり方こそが10年先、20年先でも生き残る投資につながる。
不動産投資の勉強二冊目。今回はどのような内容なのか。
章題は以下の通り。
●プロローグ『なぜ今の時代にこそ不動産投資なのか?』
今の時代に、不動産投資を行う狙いについてを説明。リーマンショック後に出版されているので、やはり状況を今風に考慮した内容となっている。
●Part1『物件の選び方で成否の7割以上が決まる!』
ヒヤリ・ハットの法則、1万時間の法則といった説得力ある独特の例えを用いて、不動産選びの考え方や常識を教えてくれる。物件の選び方というよりは、物件を選ぶ際の心構えという方が正しい。これから不動産投資をするのならこういう世界に入るのだ、という精神的な部分が多いかもしれない。
●Part2『物件選びで必ず注意したいポイント』
「表面利回りではなく、実質利回り、しかも将来を見据えた実質利回り」といった当然のアドバイスから始まるも、競売や任意売却といった搦め手のような購入方法を重点的に紹介され、未経験者としてはどう捉えればよいのか悩んでしまう。参考になった点は時代に即した物件評価くらいか。
●Part3『いざ現地・物件調査で見るべきポイント』
今までのインターネットなどによる調査を済ませた後に取り掛かる、現地での物件調査について具体的に述べている。どういった点を見ればいい物件であるか、といった判断材料はもちろんのこと、「一見おいしそうな物件でもこんな落とし穴がある」といった不動産業界の罠についても書かれている。下調べが命ともいえる難しい投資だと実感させられる内容だ。
●Part4『競争力アップにつながる付加価値のつけ方』
リフォームを含め、様々な付加価値をつけ、不動産投資の競争に負けない物件作りに精を出すためのアドバイス。このアドバイス以前に、こうでもしないと選んでもらえない時代なんじゃないか、少子高齢化もあり今は始め時じゃないのでは……、と尻込みしてしまう。
●Part5『投資と大家業とセミリタイアの話』
投資全般における心構えを説く。リタイアしてどうするの?仕事を辞めたいだけ?といった目的意識に問いかける内容でもあり、投資全般に通用する大原則を教える。
本書は
物件の選び方に焦点をしぼっており、「物件選びさえ間違えなかったら大きな失敗はしない」という当然の発想を元に、物件をどうやって選ぶかについてとことん教授してくれる。
しかし、それにしても全般的に内容が薄い。未経験者の自分には不動産投資の難しさ、心構えこそ伝わるが、具体的な行動や数字絡みについてはあまり触れられていない。
要は精神論のような記述が多いのだ。
簡潔ではあるが、具体的な投資策が見えてこない。
そういった点では、少なくとも
『知識ゼロでも大丈夫!基礎から応用までを体系的に学べる!不動産投資の学校[入門編]―「お金持ち大家さんになりたい!」と思ったら必ず読む本』を読んだ方がいいと思われるし、本書が先述した本に勝っている部分はあまり見受けられなかったと思う。
評価:★★☆☆☆
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