日本が元気になる方法
内容(「BOOK」データベースより)
このままでは大恐慌になる!各メディアで最も予測が当たると評判の気鋭のエコノミストが日本経済の未来とその対策を大胆提言。
以前は良書を提供してくれていたが、最近買って後悔する本が多くなった中原圭介氏の最新書籍。今回は日本経済についてだが、どうだろう。やや不安な気持ちを抱えながらも購入。
章立ては以下の通り。
●第1章『日本家電メーカー、大敗北の理由』
ソニー、パナソニック、シャープの大敗北はもはや説明するまでもないが、それはどうして起こったのかについて解説。円高などのどうしようもない原因、製造業の『6重苦』だけでなく、経営者の判断ミスを三つ挙げ、原因を明らかにする。また、その敗北のフォロー、解決策についても考えている。
日本家電メーカーの慢心、サムスンやアップルの賢い(正しい)戦略など、勉強になる点は多い。
●第2章『自動車敗戦という悲劇は起こるのか?』
章題の疑問に対し、著者が答える。電気自動車の普及はどうなのか、そこに隠された真実は……。といった具合に、結論を導く要素を一つ一つ述べていく。シェールガスの開発が進むことを前提に、明るい未来が見える。一見して、真実味があふれているが、実際のところどうなのかは、10年後の世界を見てみないとわからない。
●第3章『日本はデフレを克服できるのか?』
現在の日本のデフレ、またデフレスパイラルの脱却方法について考えている。金融緩和などの政策については同意するが、会社経営の話になってくると正論……というよりも、理想論というイメージ。著者の考えには同意したいが、成功している企業の実例を挙げてはいるが、企業的にはなかなかそのあたり難しいのではないだろうか。
●第4章『成長産業で日本経済大復活』
日本の長所を最大限に活かす成長産業を取り上げ、日本経済の大復活を可能にする方法を説いている。外国人からの評価はともかく、外交面、財務状況などの内政を考慮すると、本当に実現できるのかわからないところではある。しかし、日本人全体が日本の強みをもっと自覚して欲しいという気持ちになる章である。
相変わらず数々の統計や史実を根拠に論理的に説く著者らしい一冊。説得力が半端無い。
とは言え、いささか理想論のように感じる部分はある。しかし、それが理想論のようでも、その通りに動くことが出来れば、日本経済が潤っていく姿は容易に想像できる筋道の立った考えだ。
そういった点では現実化できるかはともかく、現実味はある。
日本が元気になるための方法があるとしたらこれか!と思わせる本である。
評価:★★★☆☆
中原 圭介
幻冬舎
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