一目均衡表を使ってみようと思う
内容(「BOOK」データベースより)
元祖「練習帳」の秋津学が白熱解説した「雲と線」理論、遂に発売。FX・株で確実に儲けたい人は、最強の「秋津式8の法則」「分足の戦術」「新パノラマ・チャート」「遅行スパン術」で総合技術力を極度UPしよう。
チャート分析ツールで有名な一目均衡表の解説本。
はじめに書かれているように、
一目均衡表の発案者である一目山人氏とはやや違った考えもあり、実践向けに解説を簡略化している部分もあるようだ。
章立ては以下の通り。
●第1章『基本の基本』
基準線、転換線、先行スパン、遅行スパンなどの基本的な見方を述べている。ゴールデンクロスやデッドクロスなどによるトレンド転換などごくごく一般的な判断ではあるが、見方が複雑な一目均衡表にとってこういった詳しい解説はありがたい。この章だけで、売買の判断ができるようになるので、この本の期待感が高まる。
●第2章『一目均衡表のポイントを理解する』
第1章の基本から応用的なより踏み込んだ考察をする。とは言え、チャートを見慣れている人にとってはそれほど難しい話ではない。この章では、基準線と転換線に絡むチャートのトレンド捕捉がテーマ。
●第3章『雲入り・雲抜け・跳ね返し』
2つの先行スパンが作り出す、通称『雲』によるチャート分析を紹介。雲入りした段階で売り買いすることはタイミング的に遅いということで、より早く察知するための方法も記している。雲が抵抗帯や支持帯になることくらいしか意識したことがなかったので、ありがたい内容だった。
●第4章『遅行スパンと株価の関係』
続いて、遅行スパンによるチャート分析を紹介。ここまでで、一目均衡表の実践的な読み方が一通り身についた。
●第5章『一目均衡表と移動平均線』
一目均衡表の確度をより増すために、移動平均線を利用しようという章。一目均衡表と移動平均線はお互いの弱点をフォローしあうという内容だが、本書は本章以外では、この手法を取っていないので、複雑な分析が嫌な人にはさほど必要が無いかもしれない。
●第6章『波動論と値幅観測論』
本筋とややずれて、一般的なチャート分析のセオリーとして散見される、波動論と値幅観測論についてをざっと説明。「利用しよう」という内容ではなく、「こんな理論もあるよ」という程度。著者の意見としてはこれらの理論は後講釈であるので、あまり信用できないという姿勢。これは私も同意見である。
●第7章『秋津式「8の法則」』
『秋津式8の法則』という、時間論や波動論の著者的分析といったところ。たしかに、具体例としては役に立つ内容のようだが、実践で後講釈にならないのかどうかいまいち判断に困る。この章以後でもいまいちどのように活用しているのかわからなかった。おそらくは決済のタイミングとして意識する程度の内容かと思われる。
●第8章『分足・時間足の戦術』
これまで株価のチャートを用いてきたが、本章からはFXのチャート(USDJPY)を用いて、一目均衡表のセオリーがいかに役に立つかを実践している。ここでは、分足や時間足、日足、週足の値動きの特徴を記している。
●第9章『総合力養成 FXパノラマ・チャート』
5分足と30分足を使ったデイトレードを一目均衡表を用いて試している。本書の内容の結晶のような章で、複雑な部分もあるが、いかに役に立つかがわかる。
過去のチャートを用いて『この状況は買いか、売りか、様子見か』といった
練習問題が用意されているので、一目均衡表の判断の練習になる。
「ちょうど一目均衡表の分析通りに動いた相場をピックアップしているのでは?」という疑問はなくもないが、一目均衡表という分析ツールを使ってみようという人ならば、その辺りは
統計的な信用をする方向でいいはず。
サラリーマンという立場もあり、「デイトレードは運」と結論を下してスイングトレードや長期トレードに専念している私だが、コレを見てデイトレードを少しやってみようかな、と思うほど、一目均衡表の分析は的確な感触がある。
役に立った場面ばかり摘出して題材にしている感じはするが、それでも6、7割の勝率を弾けば完璧なのがトレードというもの。
秋津式8の法則は個人的に微妙な感触だが、複雑な一目均衡表の分析のやり方はかなり頭に入った。豊富な図説、解説や練習問題による丁寧なレクチャーもあって、実践で本書の内容をトレードに活かせることは間違いないはずだ。
あとは、結果が出るか出ないかだが、その辺りはセンスの問題もあったり、長期的に続けてみないとわからなかったりするので、ここでは控えよう。
一目均衡表をマスターしたと思える一冊だ。ボリュームや分かりやすさなどいろいろな面で大満足である。
評価:★★★★★
秋津 学
毎日新聞社
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