関わらないことが最善策ではあるが……
内容(「BOOK」データベースより)
なぜ暴力団はなくならないのか?学歴、年収、出世の条件とは?覚醒剤や野球賭博でどのように儲けるのか?女はヤクザになれるのか?なぜヒモが多いのか?刺青や指詰めのワケは?警察との癒着は?ヤクザが恐れる集団とは何か?出会った時の対処法とは?その筋をも唸らせた第一人者が、時代ごとに変化し、社会の裏で生き延びる「わるいやつら」を、やさしく解き明かす「現代極道の基礎知識」。
そうも言っていられない人もいるはず。
あれ?タブーじゃないの?と思うような危ないテーマを取り扱った本書。
暴力団とは何か、どうやって稼いでいるのか、警察とのつながりはどうなのか、出会ったらどうしたらよいか、といったように暴力団について様々な角度から紹介や分析をしている。
章題は以下の通り。
●第一章『暴力団とは何か?』
暴力団の定義、どのような暴力団が実在しているのか、具体的な暴力団の勢力、法的な扱いといった暴力団に含まれるものを上から下まで紹介してくれている。どの程度まで詳しく書かれているかまではさすがにわからない。共生者、企業舎弟、暴力団関係者、愚連隊、暴走族といった分類についても説明している。
●第二章『どのように稼いでいるか?』
暴力団の金稼ぎ、つまり『シノギ』について書かれている章。みかじめ、テキ屋、恐喝、覚醒剤といったシノギの方法や利率といった部分まで大まかに述べている。いったいこの著者はどうやって調べているのやら……。
●第三章『人間関係はどうなっているか?』
暴力団の求人活動、上下関係、女性組員、世代交代や出世といった人間関係をまとめている。また、「なぜ刺青を入れるか」「なぜ指を詰めるのか」といったちょっとした疑問も書かれていた。
●第四章『海外のマフィアとどちらが怖いか?』
海外のマフィアと日本の暴力団を歴史や環境などに鑑みて比較している。あまりに濃厚でマニアックな内容の為、読んでいてたじろぐ部分が多かった。
●第五章『警察とのつながりとは?』
警察に限らず、芸能人や政治家との絡みについても言及している。彼らの利害の一致を焦点に、どのような付き合いがあって、なぜ付き合うのかということがわかる。昨今の暴力団と関係者に対する厳しい取締りにも課題が残ることも勉強になった。
●第六章『代替勢力「半グレ集団」とは?』
昨今の暴力団勢力の衰退の反面で、半グレ集団というグループが増えている。その理由や半グレ集団の定義とやり口などが書かれている。
●第七章『出会ったらどうしたらよいか?』
章題の通り、一般人が出会ったら、昔の知り合いが暴力団になっていたら、といったようにどう対応するべきかを解説。暴力団と一般人との立場の違い、暴力団の行動原理などを元にある程度具体的にアドバイスしている。
しかしまぁ、どうやって調べているものやら、と思うものが多い。特に組員に対するアンケート。逮捕者を筆頭に調査でもしているのだろうか、と少し気になる。
素人目には全体的に踏み込んだ(ように感じる)内容が多く、具体性が凄まじい。知的欲求を満たすどころか、「ここまで詳しく知っても仕方ない」と思うくらいに詳しいと言える。
現代社会に活かすどころか、もはや研究論文レベルの濃厚な内容に読みながら苦しいところはあるが、「これを期待してこの本を手に取ったんだろ?」と言われたらぐうの音も出ない。この取材力は一体どうなっているのか・・・・・・。
あとがきに書いている言葉を見るに、やはり著者も暴力団絡みの出版の際にかなり危険な目に遭っているようだ。
評価:★★★☆☆
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