これはいわゆる……
内容(「BOOK」データベースより)
仕事ができる人とできない人の差は、人を的確に見抜けるかどうかにある。なぜなら営業に限らず、誰か相手がいる以上、仕事は人との交渉の連続だからだ。短時間で相手を見抜くことは、いい仕事をするための必須条件である。本書は、経営コンサルタントとして多くの人と仕事をしてきた著者が、5分で人を見抜く方法を大公開。「服装がだらしない人は情で攻める」など、ビジネスを成功に導くヒント満載の一冊。
ダメな本じゃないか?
はるか昔に購入した1冊。本棚に眠っていたのを掘り出してみた。
自分で言うのもなんだが、なんでこんなのに手を出したのだ、といういかにもなタイトルだ。まぁ、5分で見抜くことはありえない、そもそも見抜こうとしなくていいじゃんと思いながらも、少しは面白いことが書いていないかな、とページをめくってみた。
●プロローグ
人間関係において、人を見抜くことの重要性を説く。また、人を見抜くということは、他人の粗探しや欠点を見つけることではなく、長所、優れた点に気付くというのが主な目的であると論じている。その点を踏まえて読んでいきたい。
●第1章『第一印象で人を見抜くために』
第一印象の重要性は言わずもがな、そこからどういった第一印象を与える人物がいるか、といった類例を挙げながら、また、詐欺師などのテクニックを知りながら、人を見抜く力を養う。
●第2章『先人の智恵に人を見抜くヒントがある』
ドイツの精神病理学者クレッチマーをはじめ、先人の説を用いて、人を見抜く方法を教える。
●第3章『身近にいる人間のタイプ』
筆者の身近にいる人間のタイプをまとめている。これを読んで参考にするなり、読者なりにアレンジしたりして実生活で役に立てましょうという趣向。特別目から鱗が落ちることもなく、ただ、飲み会とかで「いるよね、こういうタイプの人間(笑」と喋ったりするような、平凡な内容。おまけにどれもネガティブで、筆者の視線が人の欠点にばかり行っているように思える。
どうせ、私もこれのどれかに当て嵌められるんだろうな、と思わざるを得ない。たしかに、身近にいることにはいるが、こういったまとめ方を見せ付けられると、違った意味で勉強になる。
●第4章『態度・仕草・表情で瞬時に人を見抜く』
章題の通り。前章に引き続き、筆者の経験論が語られる。案の定、こうもまぁ穿った見方ができるなぁ、と。人間不信に陥っていないか読んでいて心配である。まぁ、読者ウケを狙って尖った書き方をしているのだろうが。
●第5章『「観相学」や「心理学」で相手のタイプを見抜く』
今度は観相学と心理学を用いて相手のタイプを見抜こうという。感想を言うのも憚られる溜息の出る内容。
読んでみた感想。
なんとなく論点が定まっていないと思う。筆者が言いたいことがあっちへ行き、こっちへ行き、「こんな人がいるよ」「こんな言葉があるよ」「こんなタイプがあるよ」というのは分かるが、「そういう点に注意して、人を見抜こうね」と言われると、しっくり来ない。さほど聡明な筆者らしい意見が散見されるわけでもないのが一因か。
また、
冒頭で人の長所に気付くのが主な目的と論じているわりに、内容はネガティブで人の欠点を探るようなタイプ分けばかり。筆者の建前と本性が透けて見える。
こんなことばかり考えながら他人と接していたら、精神が病みそうだ。
著名人の学説等を参考にしているが、それなら原著を辿った方がいいかもしれない。適度にまとめられたものがいいのならこれでもいいかもしれないが、この手の心理学関連の自己啓発本、ビジネス書を読んでいたら、この本を読む必然性はないように思える。
評価:★☆☆☆☆
武田哲男
PHP研究所
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