この奈須らしさと言ったら……
内容(「BOOK」データベースより)
感染者の精神だけでなく肉体をも変貌させる奇病、A(アゴニスト)異常症患者―俗に言う“悪魔憑き”が蔓延る世界。左腕を失った男、石杖所在と、漆黒の義手義足を纏い、天蓋付きのベッドで微睡む迦遼海江の二人が繰り広げる、奇妙な“悪魔祓い”
相変わらず灰汁の強い文章を書く奈須きのこさん。文章だけで賛否が分かれるところだけど、私は読める側の人間だ。
悪魔憑き、という簡単に言えば一種の特殊能力、異常能力者を描いた世界。既存の奈須作品とはまた違った世界観にして、世界観のくどい説明もあまり無かった気がする。
悪魔憑きと呼ばれる様々な人間が絡み合う、バトル?というかなんというか、な話。
多少ネタバレになるかもしれないが、
人を観察し、模倣し、本人のアイデンティティまで壊滅に追い込むほどの人間コピーを行う久織巻菜については、私は斬新さを覚えると共に、物語に対する興奮を隠せなかった。
そして、叙述トリックを絡めてくるあたり、そつがない。その辺は読んでみてのお楽しみ。
と言うか、あっけらかんとなってしまったので、もう一度読み返してみたいとも思うくらい。
装丁などの話ではあるが、フォントが特殊で個人的には好きである。
講談社BOXレーベルをライトノベルに属させるかは悩むところだが、インターネット上に流れるレビューの感触ではラノベっぽいので、そっちに含めよう。
評価:★★★★☆