これは酷い!
内容(「BOOK」データベースより)
臨床心理士の佐久間美帆は、勤務先の医療機関で藤木司という二十歳の青年を担当することになる。司は、同じ福祉施設で暮らしていた少女の自殺を受け入れる ことができず、美帆に心を開こうとしなかった。それでも根気強く向き合おうとする美帆に、司はある告白をする。少女の死は他殺だと言うのだ。その根拠は、 彼が持っている特殊な能力によるらしい。美帆はその主張を信じることが出来なかったが、司の治療のためにも、調査をしてみようと決意する。美帆は、かつて の同級生で現在は警察官である栗原久志の協力をえて、福祉施設で何が起こっていたのかを探り始める。しかし、調査が進むにつれ、おぞましい出来事が明らか になる。『このミステリーがすごい!』大賞2009年第7回大賞受賞作。
第7回このミス大賞の受賞作、二つのうちの一つ。
臨床心理士の女と特殊な能力を持つ少年が、ある失語症の少女の自殺の真相を追う。
本編後にある、このミス審査員4人の意見を拝見した後なので、感想がすごいそっちよりになるかもしれない。
とりあえず、読んでて「え? それ書いちゃう?」て印象があった。
斬新、センセーショナルを狙うなら、たしかにこうなるのだろうけど、にしても醜悪。
まぁアリだと思う。これは誉め言葉。意欲作。
審査員の方も言ってるが、結末が何となく読める。
今まで読んだプロのミステリー作品は「やられた!」てのが大抵あったけれど、これにはイマイチその感が薄かった感じがする。
怪しい人物が少ないか、怪しそうな事項が少ないか。
あるいは証拠品が、わかりやすすぎたか。
まぁ、それが面白さにおいて欠点かと言われると、個人的にはそうでもなかった。
それよりも、どちらかというと、説明調な文章が気になった。
登場人物のエピソードが所々で挿入されるのだが、どうも「はい、説明いきますよ」という感じがする。
私にはこんなエピソードがあるのです、というか。
人との関わりの中で仄めかすには原稿枚数規定が少なすぎるから、妥当か。
そもそも小説ってこんなもんか?
文章力とストーリーテリングが映える。すんなりと、ひっかかるところもなく。
スピード感もある。
序盤はふ~ん、だけど中盤あたりからガンガン読めた。前述の通り、結末とそこまでの展開はいささか弱めだが、面白くないとは決して思わなかった。
月並みな言葉だが、おもしろかった、と。
ただ、振り返ってみてどうも話自体に疑問が多いかな。
主人公はなんでそんなことを平気でするのか とか
いやぁ違法行為はまずいだろう とか
そこでそんなことしなくても、もっと安全な方法があるだろう とか
もっとこうすれば面白くなりそう、という点が素人目だけど思い浮かぶ。言うは易く行うは難し、だけどね。
文章的にだいぶ相性良かったです。
とりあえず次回作出たら買っちゃうと思う。
あと、、、タイトルはこれ・・・しかねえか・・・。いまいち捻り損ねてる感じがする。
評価:★★★☆☆
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