ハメられたなら、それを逆手に取れ
内容(「BOOK」データベースより)
狼神ホロの故郷ヨイツを探すため、北を目指す行商人ロレンス。異教徒の町クメルスンで得た情報をもとに、二人は田舎の村テレオにやってくる。テレオの教会にいる司祭は、異教の神々の話だけを専門に集める修道士の居場所を知っているという。しかし、教会を訪れたロレンスとホロを出迎えたのは、無愛想な少女エルサだった。さらにそこで、ロレンスたちは村存続の危機に巻き込まれてしまう。二人はヨイツへの手がかりをつかみ、無事に村を出立できるのか…。話題の異色ファンタジー、第12回電撃小説大賞「銀賞」受賞作第4弾。
「風が吹けば桶屋が儲かる」といった風に世の中がどう回っているか考えさせる作品、狼と香辛料。
今回は町・村単位での財政問題に首を突っ込むはめになる。
お偉方の悪巧みによる罠をどう打開するのか、商人と賢狼のコンビにかかる。
その画策された罠をきっちりと相手にひっくり返すところも鮮やかで、そこがまた本作の魅力でもある。
また、本書のストーリーで、行商人の立場や、神の信仰といった設定を少し掘って固めている。
そこで、この狼と香辛料の世界がどう回っているのか、理解することとなる。
バカップル具合は健在で、巧みに言葉で翻弄するホロに対するロレンスの切り返しも、本作の味。
経済と、ファンタジーと、この二人のやりとり。このテイストは崩されることなく、質を維持している。
総観としては、息を呑む展開といったものが薄く、人気の有る限り刊行が続くライトノベルレーベル特有のマンネリ感がじわじわと感じられる。
ロレンスとホロの二人旅を見ているだけでいい、というまで熱狂的ではないので、読みながらどこか冷めてしまうことがあった。
評価:★★☆☆☆
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