まさかの復活!
内容(「BOOK」データベースより)
神 に乱る―荒廃の地ジャンクヤードでは、勝利者を楽園へ迎え入れると説く“カルマ教会”の支配の下、6つのトライブがいつ果てるとも知れぬ戦いを続けてい た。しかし、そんなトライブのひとつ“エンブリオン”のサーフらが交戦中、謎の蕾と黒髪の少女セラに遭遇した刹那、世界の掟は根本から覆される。彼らは状 況を探るべく交戦相手の本拠地を訪ねるが、そこで悪魔の力が発動し…神への漸近を描く本格SF大作開幕篇。
プレイステーション2のRPG『デジタルデビルサーガ』に、2011年にまさかの小説版が発売。ゲーム版はプレイしたことはあるが、
あまりに難解かつ深遠な設定が理解しきれなかったこともあり、購入。あとがきにもあるが、ノベライズではなく原案小説であり、ゲーム版では存在しない展開などもある、ざっと400ページほどが5冊分のボリューム。
1,2巻は煉獄編。3巻は辺土編。4,5巻は楽園編。と、分かれている。
1巻は専門用語のバーゲンセールで始まる。ゲーム版未プレイの人にはイメージに苦しみ、厳しいかもしれないが、だんだん分かってくるはず……。SFものである一方で、青春要素も兼ねている?少し怪しい。
先に述べたように、かなり凝った設定であり、世界観はかなり固い。文章もそれに合わせてなかなか無機質に硬派に書かれている。
内容はBOOKデータベースにもあるが、ジャンクヤードという地で6つのトライブという軍事勢力のようなものが戦い合い、勝利した者が導かれる楽園をめざすという設定。だが、そんな世界にイレギュラーが起きる。といった具合。
そのイレギュラーによって無機質に淡々と行われていた戦争に異変が起きる。
各々が醜い悪魔に変身する能力を手に入れるとともに、耐えがたい飢餓が襲いかかり、仲間だった人間をも喰らいたくなるというイレギュラーが、その地にいる無感情に戦いと勝利を求める人間たちに『感情』が芽生えるといったところか。
その世界の設定、悪魔化というイレギュラーは後の巻で回収される伏線。
ただの戦いを描くファンタジーものというわけではない壮大な物語であることは約束したい。
ゲーム未プレイの方には厳しいかもしれないが、設定に惹かれたなら購入を勧めてもいい出来。いろいろと謎が多く、2巻にもすぐ食指が動くはず。
問題はキャラの魅力……かなぁ、と。好みの問題かもしれないが。
シリーズものというわけではないが、5巻もあるのでカテゴライズしておきます。
評価:★★★★☆
五代ゆう
早川書房
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