忍者ブログ
本、音楽、ゲームなどの書評、感想をネタバレしない程度に書いていきます。詳しくは『このブログについて』をご覧下さい。 貴方のインドアライフに役立てば幸いです。
プロフィール
HN:
エリシオ
性別:
男性
自己紹介:
読書とゲームと投資に明け暮れる、インドア特化型なしがない社会人
カテゴリー
リンク集
当ブログは、リンクフリーです。 相互リンク大歓迎です。 相互リンクを希望の際は helissio5963(アットマーク)gmail.com まで。アットマークは手動入力してくださいな。
ランキング
気に入ったらPlease Click!
人気ブログランキングへ
最新CM
[08/16 エリシオ]
[08/13 古宮昇]
[08/01 エリシオ]
[08/01 秋津学]
[11/22 エリシオ]
最新TB
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

トラウマとその対処

震災トラウマ (ベスト新書)

内容(「BOOK」データベースより)
過度なストレスによる「PTSD」「うつ病」に要注意。心の長期的ケアのケースについて紹介。









トラウマ、PTSDについて詳しくなりたかったこともあり、購入。
章題は下記の通り。

●序章『震災の心のケアで必要なこと』
阪神大震災、東日本大震災を経験した人々の精神状態を見てきた著者が考える、被災者の心の声。彼らに対し、何が必要か、あるいは彼らの心にどういったことが起こる傾向があるか、などが書かれている。

●第1章『トラウマとは?』
初めに著者が指摘するように、日常語として浸透することよって、本来の学術的意味とズレが生じてしまうこともあり、きちんとトラウマについて知ってもらうのがこの章。『ヒステリー』という言葉が日常語とは全く違う意味だったことは知らなかった。
序章でも述べられていたが、トラウマ的出来事(例えば震災による所有物の喪失や家族の死亡)があったからといって、皆が皆トラウマを抱えるわけではないという点は一つのキーポイント。
トラウマが学術的に確立するまでの歴史を振り返っているとともに、解離などの症例も紹介。最終的にトラウマを抱える原理で閉める。

●第2章『トラウマ治療の原則』
治療薬や認知療法、行動療法といった、トラウマ治療の基礎的な部分に触れている。

●第3章『トラウマと疎外感』
トラウマを持つ人物がどのような精神に陥りがちなのかが非常によくわかる章。疎外感という言葉に集約され、人間不信というように、ボランティアの人にも心を開けないといった状態がどういう気持ちなのかも書かれている。被災している人といない人、被災の程度の差といった不公平感も論旨となっている。
また、コフートの自己愛ニーズを満たす3つのあり方について、素人ながら臨床場面での接し方に非常に有用な印象を受けた。

●第4章『トラウマとうつ病』
本章を読めば分かるように、トラウマとうつ病は併発しやすく自殺にまで追い込むことも少なくない。そういった事実を述べている章。

●第5章『震災トラウマをどう克服するか』
震災に限らず、トラウマやうつ病などの状態をどう克服したらよいかについて考察している。様々なケースがあるが、基本的には医師やカウンセラーを訪れ、信用するのが最もよい方法。しかし、「こいつはわかってくれてない」「そこまで症状が酷くない」と思ってしまうのも仕方がない。そういった場合の話もきちんと記している。

●第6章『トラウマ治療の重要性について』
トラウマやPTSDの現状と今後について考え、うつ病や統合失調症については詳しいものの、トラウマに対しての医療分野での専門家が乏しいことを指摘。由々しき事態だと認識した上で、今後、トラウマの治療に対してどうするべきか、といったことを述べる。

全体的に読みやすく、専門的な部分は柔らかく、現場と著者の経験を重視したわかりやすい仕上がりとなっている。
本書のタイトル通り、震災の被災者に対する考え方、特にトラウマやPTSDに対する考え方を中心に述べている。
日本では、心の問題は、以前に比べ重要視されるようになってきたが、それでも外国に比べて後進国であるという事実、またメディアによる過度な不安を煽ることによる暗示、こういった問題が起こっていることがわかった一冊。

震災に限らず、トラウマ治療という点で読みやすく分かりやすい良書である。個人的には解離などもう少し踏み込んでほしいところがあったかな、と。


評価:★★★★☆

震災トラウマ (ベスト新書)
和田 秀樹
ベストセラーズ
売り上げランキング: 420205
PR
誰もが持っている心の闇

あなたの中の異常心理 (幻冬舎新書)

内容(「BOOK」データベースより)
誰もが心にとらわれや不可解な衝動を抱えている。そして正常と異常の差は紙一重でしかない―。精神科医で横溝賞作家でもある著者が、正常と異常の境目に焦点をあて、現代人の心の闇を解き明かす。完璧主義、依存、頑固、コンプレックスが強いといった身近な性向にも、異常心理に陥る落とし穴が。精神的破綻やトラブルから身を守り、ストレス社会をうまく乗り切るにはどうすればいいのか。現代人必読の異常心理入門。





何とも論旨を掴みづらいタイトルではあるが、『はじめに』にもある通り、異常心理とは精神障害ではない。誰もが持っている二面性の影の部分、いいことをしたい気持ちの裏にも悪いこともしてみたいといった気持ち、といったものだ。本書では、その異常心理と正常心理との境目についてを特に論じているようだ。
BOOKデータベースの文章を読んで、気になった方は手に取ってみてよいと思う。ストレスの多い社会で生活する現代人にとって有益な精神科医である著者の意見がここにある。


●第1章『本当は怖い完璧主義』
完璧主義は精神的ストレスを感じることが多い。世の中、そんなに完璧にできることばかりではないのに、完璧にこなそうとするからである。そんな、この手の知識をかじった人なら(でなくとも常識的に?)知っているであろう完璧主義について述べている。完璧主義の危険性、隠された病理、行動や思想などを語る。

●第2章『あなたに潜む悪の快感』
簡単にまとめれば、いたずら心の話。誰もが持っていて、時に快楽殺人のような犯罪にまで発展してしまうような悪の快感について述べている。虐待やイジメ、DVなどもこれに含んで考えられ、過食症と万引きの共通点などを筆頭にこういった行動の裏を考察している。

●第3章『「敵」を作り出す心のメカニズム』
ドストエフスキーと夏目漱石などの例から始まり、被害妄想などによる「敵」を作り出す心のメカニズムを説く。性欲や支配欲、SMなどについても論題になっている。

●第4章『正反対の気持ちがあなたを翻弄する』
好きな子に意地悪をする、本音とは正反対のことを口にする、などありがちな正反対の気持ちを含む行動の裏に潜む心理について述べている。強情や意地っ張り、天邪鬼といった行動や性格についても触れており、なるほどと唸らせる内容となっている。両価性というものがキーワードだ。

●第5章『あなたの中のもう一人のあなた』
解離、記憶喪失、多重人格、心的外傷といったものについて考察している。それにしても、かの有名なユングにそんな過去があったとは知らなかった。

●第6章『人形しか愛せない』
なかなか難しいタイトルだが、アイデンティティや自己愛といった部分に触れている。そこから発展し、子どもや恋人が思い通りにならないと苛立ったり欲求不満に陥ったりするような心理について述べる。ゆがんだ愛情、愛着、嫉妬などが引き起こすものが多い。

●第7章『罪悪感と自己否定の奈落』
ありもしない罪に罪悪感を感じたり、自己否定に陥ったりして強迫観念などの精神疾患にかかることについて、ニーチェなどの実在した例を用いて考察する。うつや境界性パーソナリティ障害、自殺についての心理状態や背景がよくわかる章。


問題児、犯罪行為、犯罪に近い行為、イジメ、支配と被支配、不安、歪な愛情、といった様々な実在する例を用いて、人間の誰もが持っているような目を背けたくなる心理、陥りがちな心理を考察しつくした内容。
ストレス社会を生きる我々にとって本書は一つの警句であり、精神状態に関する教科書と言える。いたって健康な人の人生でも、お目にかかりうるケースが多く述べられている。読みやすく、わかりやすい。興味をもたれた方は読んでおくとよいだろう。
ただ、これはこういった心理の裏付けであり、こういう要因がある。といったように事例を述べていくので、その点では広く浅めと言える。


評価:★★★★★

あなたの中の異常心理 (幻冬舎新書)
岡田 尊司
幻冬舎
売り上げランキング: 11218
心理学とはどういうものか


フシギなくらい見えてくる! 本当にわかる心理学
内容(「BOOK」データベースより)
ココロからウロコが落ちる!本書では、心理学の基礎から応用までをやさしく解説。特に、実験、観察、数値化などによる科学的エビデンスを重視。これらの研究成果をもとに、わかりやすく紹介します!取り上げられている手法は、広告、マーケティング、販売促進、自治体の防犯対策など、身の回りで応用可能なものばかり。本書を読めば、実践的な知識が身につきます。




心理学って胡散臭い。と思う人も多いはず、その一方で、臨床心理学、認知心理学、発達心理学、教育心理学、といった言葉を知っている人もいるだろう。そんな謎多き?心理学について知りたい人に向けて書かれた良書。

最近、テレビ出演も多い著者の心理学の本。どうやら、今までさまざまな著書を出版しているようだが、本書はその中でも『本当にわかる』心理学という意味で、俗っぽい心理テストや深層心理といった部分を真っ向から否定して書き始めている。
それまでの出版社からの依頼は外連味あふれるものばかりだったのだろうか。
とりあえず、ある程度本格的な内容っぽいので、購入してみた。


●第1章『心理学とは何か』
まずは、著者が研究してきた心理学というものの考え方について述べている。著者は心理学と聞いて思い浮かびがちな、フロイトやユングの深層心理や無意識といった最もらしいスピリチュアルな点を批判的な目で見ている。たしかに、一昔前の精神分析よりも現代的な心理療法やカウンセリングなどの実践的分野へ視野を広げた方が学問的にも科学的にも有用な印象を受ける。そもそも、心理学が一般的に胡散臭いイメージを帯びているのは、その深層心理や無意識といった決して結果として見ることができないもののせいだからかもしれないと思う。もっとも、私はフロイトもユングもアドラーもほぼ知らないと言ってもいいほどなので、あくまで印象ではあるが。
つまり、この章で言いたいことは、心理学をフロイトやユングの築いた『深層心理学』とヴントが築いた『実験心理学』に区別し、科学的論拠、目に見える結果が伴う『実験心理学』について考えていこうということ。スピリチュアルではなく、科学な内容であることを強く説明している。
そして、本書の提示する心理学は、日常で口にしやすいような実践的な内容を目指しており、認知心理学や発達心理学といった枠組みで固めた心理学ではなく、以後の章題にもあるような多角的な方法で研究し体系化した心理学を教えてくれる。というのも、本章に書かれているように、『○○心理学』というのはあくまで便宜的に分野を区切っているだけであり、その心理学だけでは説明しきれず様々な心理学から研究しないと人の心を知ることはできないからである。
この章だけで、いきなり現代科学的な心理学である実験心理学に対する興味が沸いてきた。フロイトやユングに触れようかと思っていたが、ヴントやコフートの心理学を学びたくなった。

●第2章『「現象」から見える心理学』
日常的な現象を心理学的にどう考えていくか、という章。『自分を好きになる方法』『見るなと言われたら見たくなるのはなぜか』といったことから、『三人寄れば文殊の知恵』『美人は三日で飽きる』とは心理学的にどうなのか、といったことが述べられている。この章を敷衍したものが巷で溢れかえっている『~心理術』といった啓発本に繋がっていると言える。

●第3章『「実験」で測る心理学』
様々な実験を挙げ、その効果と日常生活での活用法を示している。飴と鞭によるモチベーションの変化や、記憶力アップの秘訣、集団心理やマインドコントロールといった部分を心理学の実験を元に解説。

●第4章『「観察」で見抜く心理学』
乳幼児の発達のような、特定の個人を長期的に観察することで心理的変化を研究する、『観察』を主体とした章。まずはひらめきや、偽りの記憶を起こす原因などについて述べている。ステレオタイプ、発明、愛、社交性、友情、といったものの芽生えや影響についても実験(観察)結果を通して考察している。分類としては、発達心理学の内容が多め。

●第5章『「理論』を整理する心理学』
ここでは、数々の研究者が心理学を通してまとめ上げた理論を紹介している。整理することで、実践的かつ専門性を理解しやすい形にしている。本書では、意欲やモチベーションの法則、性格の分類、ストレスマネジメントなどが挙げられている。「理論」というだけあり、噛み砕いているとは言え、小難しくなっている。

●第6章『「技法」を提示する心理学』
第5章の理論を踏まえた後、心理療法のような臨床的応用に踏み込む章。ここも専門的な点を頑張ってわかりやすく説明しているようで、今まで私が読んできた実用書ではただ単にこういった療法があるという程度で頭に入れていた部分を、一歩踏み込み、その仕組みを専門用語を用いながら説明してくれている
オペラント条件付けやSR理論、ABC理論、森田療法、内観療法や絶食療法など様々な療法的アプローチを著者なりにまとめあげ、簡潔かつ読者にわかるよう書かれている。
不安障害や抑鬱や自己中心的な考えを治す方法、心のリフレッシュ、自己暗示、などメンタルヘルスに関する記述が多分にあり、治療者やカウンセラー側の狙いをまとめている。内省する力のある読者ならば自分に対する応用もできると思われる。もちろん、専門的な治療を要する状態と思うならば、実際に医療機関を訪ねるべきだが。

これ系のタイトルの本は、俗受けを狙いすぎて極論じみた眉唾物か、学術的で研究者の門を叩く人向けか、のどちらかという勝手なイメージがあったが、本書はその点でとてもバランスが良い著作
『シロクマのことだけは考えるな! 人生が急にオモシロくなる心理術』に書かれていた内容とかぶる部分がある。ボリュームの関係もあり、内容の濃さはさすがにこちらに軍配が上がる。何より、専門用語を遠慮無く紹介する一方で、わかりやすい説明を怠らず、日常生活に対する活用もしっかり抑えている点は素晴らしい完成度である。
まぁさすがに実用書ということもあって、専門的に踏み込むことはないが、心理学に興味のある自分には「もっと深く知りたい!」と思わせてくれる内容が多く、また自分がどういったところに興味を持っていて、深く知りたいのかハッキリさせてくる内容でもあった。


評価:★★★★★

フシギなくらい見えてくる! 本当にわかる心理学
「フシギなくらい見えてくる! 本当にわかる心理学」
 [単行本(ソフトカバー)]
 著者:植木 理恵
 出版:日本実業出版社
 発売日:2010-02-26

 
 
ほんと、よくわかります。


よくわかる色彩心理 (図解雑学)
内容(「BOOK」データベースより)
心理学の中で、色彩と心理の関わりに対する研究は比較的新しいものです。しかし、「色が人の気持ちに影響を及ぼす」といえば思い当たる人も多いでしょう。本書では、色彩学と心理学の基本から、色が感覚に与える影響、色をつかった心理テストや芸術療法、色の歴史と各色のイメージ、衣食住など日常の中の色、色を感じるしくみまで、色彩と心理の関わりについて文章と図版で幅広く解説しています。不思議な「色の効果」を体感しながら、色彩と心理の関わりについて理解を深めて下さい。



なげやりなキャッチコピーを書いたが、ほんとによくわかる。

見開きで一つの議題をまとめ、左ページは文章、右ページは絵や図を用いた説明といった分かりやすい構成がウリの図解雑学シリーズ。心理学に興味が絶えない自分の中でまた未知の分野、色彩心理についての本に手を出してみた。
しかし、この色彩心理というタイトルに『心理学』とまで書いていないのには、第1章にも述べられているように、まだ学問として確立されていないからである。色から受ける心理的影響などについての研究はまだ問題が山積みなのだろう。

章題は以下の通り。

●第1章『心理学と色彩学』
色彩心理学というものは、未だ学問として確立できていない。その原因をさらっていく章。心理学と色彩学それぞれの特徴とその融合の困難さを述べている。また、物理学、生理学、心理学、民俗学といった様々な学問からの色の捉え方を簡単に述べている。
構成的に、内容はさすがに表面的で、もっと詳しく知りたい部分がある。

●第2章『色が知覚に与える影響』
最初にある『色の恒常性』という部分から、「あぁ、たしかに」と思う。我々は暗闇の中でも、オレンジ色の光を当てても、白い紙が白く見える。色に限らず、形や大きさ、明るさといった面でも恒常性は見られる。でなければ、世界を安定して認識でないからだ。そんな認識の話から始まり、色が生じさせる感覚について述べている。
知覚面では、一般でよく知られている錯視の例を挙げ、色相対比や色の同化といった、同じ色なはずなのに違う色に見えるという人間の脳の作りを教えてくれる内容。この辺りの話は、日常的に営業戦略としても利用されているので、読んでいて面白かった。
また、色から生じさせる感覚では、寒色や暖色、重い色や軽い色、膨張色や収縮色、進出色や後退色、派手な色や地味な色を紹介。図解で見てみるとこれほどわかりやすいものはない。

●第3章『臨床の場における色』
ここでは、臨床の場で用いられる心理テストなどと色彩との関係を述べている。ロールシャッハテストやTATなどを始め、様々な心理テストと色の関連性が説明されている。その回答などから見る人間性や心理の部分にも触れているが、全体的にやはり広く浅いのは仕方がない。もちろん、これを読めば心理テストができる!なんてほどの専門性は無い。「こんなものがありますよ」程度である。

●第4章『各色の歴史とイメージ』
章題の通り。まずは、『人間がどのように色を色をして認知し、命名したのか』といった哲学的なところから始まる。そして、赤、黄、青、といった具体的な色から感じる印象を歴史的民俗学的見地から考察している。各色にそんな歴史があるとは、とちょっとした雑学気分で楽しめる。

●第5章『日常生活の中の色』
色と衣服、流行色、食べ物、建物や環境、色彩を使ったビジネス戦略、といったように、我々の生活にある色の使われ方とその効果についてを分析。インテリアの色、勉強や仕事に集中できる空間と言った具合に、実践的で共感できる部分が多く、読んでいて面白い。

●第6章『色の基礎知識』
ここでは、これまでとは打って変わり、大まじめな学術的な話になる。具体的には、光や色を感じとる原理、人間のどの器官を刺激して認識させるのか、老眼や白内障の話、加法混色や減法混色といった、基礎知識と言っておきながらも、なかなか専門的なところに突っ込む。もちろん、これでも軽く触っている程度なのだが。


図解雑学シリーズにもってこいの色彩という題目。全体的にわかりやすく、図解ならではの色から受ける印象を体感できる。
不満点は、やはり鮮明なフルカラーで刷ってほしかったかな、と。まぁそうなるとコストの問題が出てくるのだろうが、色彩だけに鮮明な色での説明を受けたかった。


評価:★★★☆☆

よくわかる色彩心理 (図解雑学)
「よくわかる色彩心理 (図解雑学)」
 [単行本]
 著者:山脇 惠子
 出版:ナツメ社
 発売日:2005-09
 価格:¥ 1,470
 
 
人間の能力の盲点を突く


錯覚の科学
内容(「BOOK」データベースより)
サブリミナル効果などというものは存在しない。いくらモーツァルトを聴いても、あなたの頭は良くならない。レイプ被害者は、なぜ別人を監獄送りにしたのか?脳トレを続けても、ボケは防止できない。「えひめ丸」を沈没させた潜水艦の艦長は、目では船が見えていたのに、脳が船を見ていなかった。徹底的な追試実験が、脳科学の通説を覆す。




ちょっとタイトルが長くなりすぎるので、著者関連はこちらに書かせていただきます。クリストファー・チャブリス (著), ダニエル・シモンズ (著), 成毛 真 (解説), 木村 博江 (翻訳)です。


本書は章題についてを述べるというよりは、注意の錯覚が起こした事件・事象などを多数紹介し、解説する形である。章題の内容はその中の代表的な案件ということだ。
章題は以下の通り。

●はじめに『思い込みと錯覚の世界へようこそ』
思い込みと錯覚は、エッシャーの『無限階段』のような錯視だけでなく、どこにでも存在している。マスコミや政治家達に翻弄される市民は、多くの錯覚を起こされていたりする。本書を読むことで真の現実を知るかも知れない、という主張。
『一セントの節約は一セントの収入』という言葉は、わかっているようで言われてみないと実感出来ない錯覚面の的を射た言葉だ。我々は入ってくるお金と自分が持っているお金は別のように感じているという証拠である。
そんな興味深い錯覚の世界へと誘う冒頭部。

●実験Ⅰ『えひめ丸はなぜ沈没したのか?――注意の錯覚』
白シャツを着た人のバスケットボールのパスの回数を数える『http://www.youtube.com/watch?v=vJG698U2Mvo』のような動画を使い、注意の錯覚を実感させてくれる章。
一つのことに注意することによって人がどれほど盲目的になっているかを実証している。また、注意の外(予定外の事態)に対して気づくことができるかどうかがこの章の焦点。我々にもよくある光景が車の運転中の携帯電話と言える。携帯電話で話し中の運転と普通の運転では、前方を見る目、ハンドルを切る手はほぼ変わっていないが、注意力は衰える。特に、予定外の事態(歩行者が飛び出してくる、など)の時には対応出来なくなることがより顕著である。
こういった見落としの他に聞き落としなども紹介される。

●実験Ⅱ『捏造された「ヒラリーの戦場体験」――記憶の錯覚』
前章では、『非注意による見落とし』だが、この章では『変化の見落とし』『見落としを見落とす見落とし』といった風に、人間の記憶がいかに錯覚を起こしているかを述べている。映画の前後のシーンの矛盾を例に挙げ、人間が予期出来ない変化には弱いことを証明。
また『フラッシュバルブ記憶』という覚えていると錯覚しやすく、容易に取り出しやすい記憶についても書かれている。
この章を読むことで、二〇〇八年大統領選でヒラリー・クリントン氏が演説した内容がなぜ偽りの体験だったのか、を理解できる。

●実験Ⅲ『冤罪証言はこうして作られた――自信の錯覚』

ここでは、自信というものがどれだけ錯覚を起こすか、また自信が錯覚であるか、という点について述べている。なかなか面白いな、と思ったのは『能力不足の無自覚』だ。自信があることと正確性は全く別の性質であるどころか、むしろ自信があればあるほど正確性は疑われる、という実験結果は身近でも実感することが多い気はする。
この章を読んで思ったことは、自信のある人を信じるという一般に根付いた常識は考え物である、ということ。

●実験Ⅳ『リーマンショックを招いた投資家の誤算――知識の錯覚』
研究者に限らず、我々一般市民でも知識の錯覚は起きている。自信の錯覚の派生的ではあるが、我々は思っている以上に物事について無知である。本章にあるとおり、『計画以上に時間や経費がかかる』ということは、枚挙にいとまが無い。
また一方で、情報化社会に対する警句を錯覚の科学として提唱している面もある。

●実験Ⅴ『俗説、デマゴーグ、そして陰謀論――原因の錯覚』

相関関係と因果関係の違いが焦点となる、原因の錯覚の章。『アイスクリームの消費量が多い日には、水難の割合が高い』という簡単な理論は、この原因の錯覚を理解する上で参考になった。最終的には原因の錯覚に3つの傾向をまとめている。人間の脳はどれほど都合の良い解釈をしているのか理解できる章である。

●実験Ⅵ『自己啓発、サブリミナル効果のウソ――可能性の錯覚』

モーツァルトを聴けば、頭が良くなる。というモーツァルト効果の話から始まり、脳トレやチェスなどでの知育効果やサブリミナル効果、ゲームによる認知能力の向上、といったいろいろな実験結果について考えてみる章。読んでみれば分かるが、これらの実験によって論証することは非常に難しい。錯覚というよりは、実験の限界について思い知らされるような内容だった。
自己啓発やサブリミナル効果はありえない!というような単純な内容ではない。

●おわりに『直感は信じられるのか?』
おわりに、まとめとして直感は信じられるのか、という問題を説く。

最後に解説者、成毛 真氏による『脳トレ・ブームに騙されるな!』という記事がある。見出しよりも、本書を包括するような内容である。

全体として実証するデータが日本人(の文化)にも該当するかどうかはわからない感じはする。特に謙遜することの多い日本人に実験Ⅲのような自信の錯覚の統計は当てにならないのではないか、という思いがある。

個人的には掴みこそ良かったが、徐々にだれてきたかなぁ、という印象。内容も「言われてみればそうだけど、だから何?」という気持ちになった。たしかに、深く研究されており、参考文献を挙げるだけでも数十ページも使うほどの濃い内容ではあるが、結果だけを知りたい人には進みの重たいものかもしれない。
学術的であるが故に、読者を楽しませたり驚かせたりする要素は薄め。

とは言え、専門書として捉えるならば、人間の錯覚についてこれほど深くまとめられたものはそうそうないはずだ。錯視ではなく錯覚についてであるのでお間違いのないよう。


評価:★★☆☆☆


錯覚の科学
「錯覚の科学」
 [単行本]
 著者:クリストファー・チャブリス,ダニエル・シモンズ
 出版:文藝春秋
 発売日:2011-02-04
 価格:¥ 1,650
 
 
Copyright © めざせインドアマスター All Rights Reserved
Powered by ニンジャブログ  Designed by ピンキー・ローン・ピッグ
忍者ブログ / [PR]