長くてもすらっと読める大作ホラー
内容(「BOOK」データベースより)
その「呪い」は26年前、ある「善意」から生まれた―。1998年、春。夜見山北中学に転校してきた榊原恒一(15歳)は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、いっそう謎は深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木ゆかりが凄惨な死を遂げた!この“世界”ではいったい、何が起こっているのか?秘密を探るべく動きはじめた恒一を、さらなる謎と恐怖が待ち受ける…。
クラス内にいる異質な雰囲気をまとった女の子。学校の怪談と割り切るには凝った内容の古くからの言い伝え。
このあたりを主軸に世界に引き込まれる。
what、why、how、whoの疑問詞を前面に置きながら進行するストーリーは、その通り解決していく四部編成。
内容はまさにホラー。
原稿用紙千枚ほどの長さの割にテンポがいいので、さくっと読める。
呪いの過程は展開的には単調かも知れないが、文章内のアクセントもあり、単調さは全く感じない。
冗長さがないと言うべきか。
得体の知れない謎に立ち向かう難しさ、どうにも出来ない歯がゆさ、混乱する一同がダイナミックに描かれており、読者もそれに入り込むことができる。
結末は「なるほど」と唸らされる。しっかりミステリー的伏線とその現象の全容が結びついている。
ジャンルとしてはホラーに属しているため、結末についてはオカルトと折り合いをつける形となるが、よくできている。
オカルト面はともかく、せめて某登場人物の某能力については裏付けが欲しかったかも知れない。
いろいろ解決の難しい設定にしちゃったし、これでOK!って感じがする。
Another(もう一人)が発覚したあとの対処については一層その思いが強い。
あの状況下でそんなにすぐ信じることができるのか、と引っかかったりもする。
値段相応のボリュームと満足感。買って損は無しといった感想。
評価:★★★☆☆