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消化不良すぎる

粘膜人間 (角川ホラー文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
「弟を殺そう」―身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。その暴力に脅える長兄の利一と次兄の祐太は、弟の殺害を計画した。だが圧倒的な体力差に為すすべもない二人は、父親までも蹂躙されるにいたり、村のはずれに棲むある男たちに依頼することにした。グロテスクな容貌を持つ彼らは何者なのか?そして待ち受ける凄絶な運命とは…。第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した衝撃の問題作。





ひさしぶりにホラーでも触ってみようと思い、話題の粘膜シリーズに手を出していることにした。
日本ホラー小説大賞を受賞したというのもあり、期待の作品でもある。

さて、ストーリーはBOOKデータベースにもあるように、小学生のわりに巨体と怪力を持つ弟に脅える長兄と次兄が弟の殺害を目論み、村の外れにいる異形の者へ依頼するというもの。
設定は戦時中の村。初っ端から上記のシナリオで始まるため、明らかに穏やかではない話で始まるため、すぐに入り込むことができた。章立ては以下のようにされている。

●第壱章『殺戮遊戯』
●第弐章『虐殺幻視』
●第参章『河童彷徨』


暴力、性描写など、全体的にグロテスクな表現がたくさんある。その辺り苦手は人はやめておいた方がいいだろう。
戦時中の話と異形の者がマッチする形ですんなり読めたのは意外で、当時本当にこんな感じだったのかも、と頭をよぎるほどである。特別灰汁が強いわけでもなく過剰表現もないシンプルな文章でここまで読者に想起させる筆力。リーダビリティが優れていることが、読んでいて理論でなく感覚でわかる。気付けば100ページ読んでいたというほどの吸引力だった。

面白かったのは面白かったが、ラストが消化不良すぎる。読者に想像をかき立てる形で終わらせる、というにはあまりにお粗末。そこでどう転んだか想像したところでそれも消化不良と思う。
言うなれば、起承転結の『転』のしかも途中で終わった感じである。起承まではかなり面白かったのでこれは残念。悪い意味で完璧に期待を裏切られたので、評価は辛く。
ついでに言うと、タイトルの意味もわからない。


評価:★☆☆☆☆

粘膜人間 (角川ホラー文庫)
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