世の中、金……だけじゃない!
内容(「BOOK」データベースより)
4年もの間ホテルにひきこもる、他者との肉体的接触を極度に嫌う、相対する人間の“金に対する想い”が様々な幻覚となって現れる―これらはネット上で「金の声を聞く男」と呼ばれ、株式市場の値動きを予見し二百五十億円超の資産を築いた「ヒィ」の「症状」である。その彼のもとに、一枚の旧札が送られてきた。それこそが、捨て子だった「ヒィ」の本名が記された伊藤博文の千円札、失くしてしまった唯一の大事な宝物だった…。送り主は、投資ファンドの代表である沢谷という男。かつて「ヒィ」との仕手戦で屈辱的な大敗を喫していた。描いた絵図を台無しにした仇敵「ヒィ」に対して、巻き返しを図る沢谷は何を!?第39 回メフィスト賞受賞作品。
メフィスト賞作品は触れたことがないので、どんなものか、と読んでみた。
このミスで取り上げられていたが、評判通りミステリー要素は薄く、ロードノベルとして主人公ヒィの変化を楽しむ作品だと思う。
ミステリーを期待して読むと肩すかしを食らいます。よって、当サイトのカテゴリーはミステリーには含めませんでした。
現に最初の方は、「う~ん、面白くない」とガッカリしたのだが、読み進めて行くにつれ別の観点で面白くなってくる。
細部、文章に関しては問題なく、読みやすい。
主人公に限らず、キャバ嬢や彼女を取り巻く人々の心情の描写もリアルで面白い。そこがなかなか粋で、書き分けによるメリハリ、緩急がまた良い。
とにかく後半に進むにつれて、この作品の魅力が伝わってくる感じだった。
金にまつわる話が興味ない人にとっては、つかみが良くないかなぁ、と。
評価:★★☆☆☆
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