筆跡を巡る事件のケーススタディ
内容(「BOOK」データベースより)
筆跡鑑定の世界で活躍中の著者が、近年マスコミを騒がせた事件を鑑定人の視点から分析。さらには、遺言書の偽造など、筆跡にからむ代表的な事例を紹介し、解決へのプロセスを案内する。
筆跡鑑定が絡んだ事件の数々を鑑定者である筆者が紹介するという内容。
鑑定方法の説明はもちろん存在するが、どちらかというと物語的な書き方で、ミステリーや刑事物が好きな人には良い本かもしれない。
性格などを計る筆跡診断の本とは異なり、偽筆の看破や、同一人物の筆跡であることの証明がメインの筆跡鑑定が題材である。
そのため、筆跡心理学についての言及はあまり無い。
本書の構成は以下の通り。
・第一章『マスコミ報道事件の裏話』
誰もが知っているような有名な事件に関わる筆跡鑑定している筆者、酒鬼薔薇聖斗のような凶悪犯罪者の筆跡を辿り、筆跡鑑定の方法を軽く触れながら事件の解明に貢献した実績を紹介している。
プロファイリングに用いられる、容疑者の年齢や性格などの診断も予測できる筆跡診断の極意を垣間見ることが出来る。
・第二章『筆跡鑑定の現場から』
筆跡鑑定は、第一章のような凶悪犯罪捜査に役に立つというイメージがあるかもしれないが、案外身近に筆跡が問題になる場面が存在する。
ここでは、「まさか自分が筆跡絡みで困ることはないだろう」と思っていたような一般人が巻き込まれる事件を多数紹介している。例としては遺言書や怪文書を巡る偽筆や冤罪などだ。
・第三章『筆跡鑑定の実務知識』
第一章、第二章で触れた筆跡鑑定のおさらいといったところか。筆跡鑑定というものがどういうものか、筆跡鑑定を依頼すること、法廷で争うということなどを言及している。
読み物としても読める程度で、敷居の低い内容だ。筆跡鑑定について興味を持った方は手に取るとよいが、筆跡心理学や筆跡診断に興味のある方には向いていない。
数々の事件を挙げている点で、これを元にちょっとした小説を書くネタにもなるだろう。
特に自分の評価に関しては「こんなものだろうなあ」という点で、★は3。
もう少し踏み込んで欲しかったが、プライバシーの点もあり難しそうだ。
評価:★★★☆☆
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