面白いかなぁ? ケケケッ
内容(「BOOK」データベースより)
江戸・本所深川で、献上品の売買を行う、献残屋の手代として働く周吉。彼はオサキという妖狐に憑かれたオサキモチであり、いつも懐にいるオサキに、恋に仕事にと、やることなすことからかわれている。ある夜、辻斬りに襲われ、殺人も起きる中、店の一人娘・お琴がいなくなった。周吉はオサキモチの不思議な力を使い、お琴を捜しに夜の町へ出て行く。おとぼけ手代と妖狐一匹の妖怪時代劇。
時代物の小説は、あまり興味がなかったので触れなかったのだが、『このミステリーがすごい!』の隠し玉ということで、ちょいと読んでみることにした。
時代的にも物騒な世の中のわりに、スローライフな文章に思えた。
そのせいで、妖狐オサキの「ケケケッ」が鬱陶しく感じたりもするのだが、いいスパイスと思える。
合間合間に結構な頻度で余談や過去の回想が入る。
たとえば、『悲鳴が聞こえる』→『駆けつける』がよくある展開だが、その間に『悲鳴の主は~~な人で、いぜんもこういったことがあり、~~だったものだ』といったように、展開を急がないスタンス。
もっさりしているというより、マッタリとした独特の余裕がある雰囲気を作っている。
しかしまぁ、入りが悪いように感じた。江戸や主人公たちが居着いている場所の日常はよくわかるのだが、退屈。
事件らしい事件があっても、オサキもオサキモチも基本的には外野気味。
いざ介入しても、アクション、戦闘の場面などは意図的にかわからないが、省略気味。
ライトノベルチックな仕上がりだが、こういう点はバトルものに成らないようにしているのか。
比較的コミカル路線なのはわかるが、どうも話の展開やキャラクターの魅力を感じるに至らない。
漫画ならともかく小説で平穏な日常はあまり好きではない自分だが、中盤からようやく面白くなってくる。
最終的にはしっかりミステリー風に仕上がっていて、まとまりがよかった。
これは、アリです。
少し時間軸などの構成にもどかしさを感じたが、悪くないお話。
ただ、ドキドキワクワクを求める人にはイマイチ物足りないかもしれない。
もう少し、オサキについて突っ込んで欲しいところだが、続編を検討しているのだろうか。
人間と怪物のバディものの名作シリーズとして確立していくだろうか、今後に期待である。
個人的にはタイトルのインパクト不足が残念か。時代ものとわかるだけでも良しなのだろうか。
かわいらしい表紙絵に助けられているかもしれない。
評価:★★☆☆☆
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