うわ、すげえ。
内容(「BOOK」データベースより)
人気ファッションショップで、ある日突然、売り上げが落ちてしまう。いつも英語は赤点の女子高生が、東大入試レベルのヒアリング問題で満点を取る。この奇妙な事象をともに陰で操っていたのは、かつてミリオンセラーを連発した有名音楽プロデューサー・西園寺響だった。借金地獄に堕ちた彼は、音を利用した前代未聞の詐欺を繰り返していた。凛田莉子は鑑定眼と機知の限りを尽くして西園寺に挑む。書き下ろし「Qシリーズ」第3弾。
と思ってしまった。
読む前、
もうなんか、BOOKデータベースの時点でネタバレなのがちょっといけない。これは読む前からある程度わかっちゃうじゃないか、と少し憤りを感じた巻だった。
と言っても、捕まえるまでの過程を楽しめるのが本作である。
それに後半の展開は、やはりこのBOOKデータベースからは想像できない方向へ向かうので面白かったと言える。心配せずに読んでいただきたい。
上記BOOKデータベースの2文目までの通り、人気ファッションショップが急に売り上げが落ち、英語がいつも赤点の女子高生が満点を取るといった、オカルトとまでは行かない怪奇現象。「なんでなの?」となってしまう題材はなかなか魅力的だ。
読んだ感想は抜群の安定感があるシリーズだ、という実感。やはり、主眼となる主人公凛田莉子の鑑定眼はもちろん、
その構成を支える著者の様々な知識は、専門的な点から現代の若者文化のちょっとマニアックな知識まで何でもござれといった様相。2巻の終わり方に若干萎えていたが、
知的な感じが好きな私にはこのシリーズは追っていこうと思わせるものがある。
そして今巻は、個人的には文句のない出来だった。締め方、トリック、過程、鑑定眼の魅せ方、すべて洗練されていて「うわ、すげえ」と思わせる出来だ。
著者には取材・知識面はもちろん、構成や文章力の面でも尊敬の念を抱いてしまった。2巻で一時ストップしていたが、このシリーズは付いていかせていただこうと思う。
評価:★★★★★
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