ラテラルシンキングの達人現る!
内容(「BOOK」データベースより)
掟破りの推理法で真相を解明する水平思考―ラテラル・シンキングに天性の才を発揮する浅倉絢奈、22歳。新人ツアーコンダクターとして国内外を飛びまわる彼女は、旅先で発生するトラブルから難事件まで、予想もつかない手段で瞬時に解決する。中卒だった彼女は如何にして閃きの小悪魔と化したのか?鑑定家の凛田莉子、『週刊角川』の小笠原らとともに挑む知の冒険、ここに開幕。人の死なないミステリ最高峰、αシリーズ第1弾。
万能鑑定士Qシリーズの姉妹編。凛田莉子や小笠原も登場する本作。
浅倉絢奈というツアコンが解決する事件もの。例に洩れず、人が死なないミステリーと謳っている。
さて、その主人公はというと、とんでもなくバカ。凛田莉子の学生時代の頃の話とはまた違った、まさに掟破りの思考をしている。
本編にもあるように、
ラテラルシンキング(水平思考)を使う、今までの凛田莉子の論理的推理とはまったく逆の推理をする。
浅倉絢奈の馬鹿さ加減は、読むにつれて無くなるのは仕方ないことかもしれないが、凛田莉子のように常人とかけ離れた知識量の高嶺の花といった人物ではなく、親近感が湧く感じで、斜め上を行く発想の閃きを駆使するので、こちらの方が好きな人も多そうだ。
万能鑑定士Qと姉妹編ということもあってか雰囲気は同じような作品になっているものの、登場人物が変わるとまた面白く、斬新に感じるものだなぁ、と。
このラテラルシンキングという捻くれた思考がどのように推理に役に立つのかというところが見所なので、ちょっと万能鑑定士Qの名推理は飽きてきたな、という頃に読んでみるとよい気分転換になっていい。
肝心の話の方だが、比較的小粒にいろいろと事件を解決する感じ。
クライマックスの謎解きは痛快で面白かった。
万能鑑定士Qの時にも、なぞなぞみたいなちょっとした頭の体操が多かったが、本作はさらにその傾向が増して、事件の解決にまで結び付けるといった内容。ラテラルシンキングというのはまさにそういうずるがしこさ、虚を衝くナゾナゾのような思考だ。
純粋に面白かったです。しかし、いろいろ上手くいきすぎというごり押し感がある。
評価:★★★★☆
松岡 圭祐
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-02-25)
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