もう作者が鑑定士になれよ
内容(「BOOK」データベースより)
波照間島から凛田莉子に届いた突然の手紙。そこには「水不足問題は解消。寄付はもう必要ない」とあった。募金はまったく集まっていなかったはずなのに!故郷に戻った莉子が見たのは、12億円で夢の発明を買えると信じ、無邪気に喜ぶ人々の姿だった。同級生の葵、結愛とトリオを組み、発明者のいる台湾へ向かうが、誰も彼の姿を見たことがないという…。莉子は故郷を救うため、台湾を駆ける!書き下ろし「Qシリーズ」第8弾。
と言いたくなる本作。
今回は台湾での画期的淡水化の発明の嘘を暴く流れ。渇水に悩む主人公凛田莉子の故郷はこの発明に十二億円もの大金で取引をしようとした。原理を教えてくれない発明者の謎多き発明の裏には間違いなくカラクリが潜んでいる。莉子は詐欺を証明すべく台湾へ向かう。
感想。
台湾での捜査はやや退屈……というか進展の無さにむず痒くなるため単調な印象。詐欺師と思われる人物のあとを追っていくうちにわずかなヒントを見つけることには見つけるが、核心を付くことは全くできない。どう収拾するのかわからない部分は気にはなるが、個人的にはイマイチのめり込めなかった。
というのも、凛田の同級生二人とのトリオでの捜査にこれといった魅力も新鮮味もなかったせいかもしれない。旧友と出会い、凛田の成長に驚く姿は前巻までのシナリオにもあったりするので、何となく重複する。
いち早く詐欺師を探さなくてはならない切羽詰まった状況のわりに緊張感が薄く、
台湾の観光的な内容が多い。
真相は……こういうネタか、という感じ。まぁ本格推理小説を読んでいるわけでもないので、アンフェアーな要素ではないけれど、つまらないかなぁ、と。
また、主人公の活躍面だが、
今回は鑑定眼というよりは台湾の知識力みたいな部分があって残念、と締めくくります。
こういう作品が書ける作者は素晴らしいとは思うけれど、
今回のシナリオは個人的には率直に言うとつまらなかった。
評価:★☆☆☆☆