やるの? やられるの?
内容(「BOOK」データベースより)
第9回電撃ゲーム小説大賞金賞受賞の成田良悟が、前作を上回るスケールとトリッキーな構成で贈る受賞後第1作。舞台は1931年アメリカ。大陸横断特急「フライング・プッシーフット」。“不良集団”は貨物室のお宝をちょいと戴くため、列車に乗り込んだ。“革命テロリスト軍団”は偉大なる指導者を奪還するため、列車に乗り込んだ。“ギャング”は鉄道会社を脅して金をせしめるため、列車に乗り込んだ。“泥棒カップル”は一年ぶりにNYの友人と会うため、列車に乗り込んだ。出発の興奮に酔う彼らはまだ知らない。これから始まるクレイジーな夜を―。
前巻『
バッカーノ!-The Rolling Bootlegs』に登場した人物や、さらにテロリストグループ、殺し屋グループ、ギャングなどが揃いも揃って一つの大陸横断特急「フライング・プッシーフット」に乗り込む。
その列車を乗っ取ろうとする者、乗客をとにかく殺そうとする者、貨物車に載ったものを盗もうとする者、様々な思惑を持って集った彼らのバカ騒ぎ。
前巻の登場人物からさらに個性的な登場人物が増加。
物騒な奴らが集って、触れあう。
やるかやられるか、誰が生き残るのか、などのワクワク感が熱い。
「こいつが主人公!」って位置づけのキャラクターがいないからだろう。
登場人物の多さにもかかわらず、きちんと伝わってくるし、それぞれが魅力的で「こいつはいいよ」ってのがない。
(某バカップルにうんざりして挫折する人が多そうではあるが)
また作者も言っているが、『人が死んでも軽い』作品。
前巻からの『不死の酒』の設定的な問題もあるが、それ以外の内容的にも人の命が軽い。
それでいて、「こいつは死んでも大丈夫だ!」みたいな興ざめな感も無い。
これがバッカーノ!らしさか。
なかなか良作である。
ただ、本作ではわからない部分も多分にある。そこは次巻の『
バッカーノ!1931 特急編―The Grand Punk Railroad』で明かされる。
評価:★★★★☆