さて、気になる完結編だが……
内容(「BOOK」データベースより)
アルカトラズを出所し、シカゴでミリアと落ち合うことになったアイザック。爆破事件を聞きつけてミリアと共にシカゴに戻ることになったジャグジー一行。ヒューイを殺すために刑務所の奥で暴れ始めたラッドと思惑を秘めたフィーロ。少しずつ狂い始めているレイルと、それを止めることが出来ない吸血鬼の面々。他人の迷惑を省みず、ひたすらに喧嘩を楽しむグラハムとクリストファー。そして、高みの見物をする権力者たち。三百箇所同時爆破と二百人の失踪事件。殺し屋と不死者を巡る騒動。混乱をきたす舞台に、全ての役者がそろった時、それぞれの配役が動き始める。そして、彼らの運命を弄ぶ者とは―。
1934年のまとめ、完結編。さりげにサブタイトルが変わっている。
読み終えて感じたことは、肩透かしを食わされた気分。
と言うのも、どうやら綺麗にまとめすぎているような気がする。このまとめ方が好みを分かつところだが、私的には物足りなく、はぐらかされた感じがした。
結局、根本的なストーリーは先延ばしとなって終わっている点もそうだが、これだけヤバイ登場人物達がぶつかりあって、どんちゃん騒ぎして、こんな結果なの? というのもある。
ライトノベルの枠だから仕方がないのかもしれないし、それ以前にこの感じこそがバッカーノ!なのだと言われるとそうなのだろうが、私としてはもう少し悲劇的というか現実的な展開にして欲しいところ……。
これが全て『運命』や『~の意志』で片付けられるのならば理解は出来る、が私としては納得は出来なかったかなあ。
まぁ、こういうところは軽く行こうよ、ってところがバッカーノ!らしさなのかな。今まで散々持ち上げてきたけれども仕組みが分かるとガッカリみたいな、そんな気分。
個性的な登場人物が山ほど出てくる斬新な群像劇も、このような展開が続くといい加減マンネリを感じるかもしれない。
とまぁ完結編と銘打ってあることもあり、結末に重点を置いた感想だったけれど、道中はそれなりに面白いのは相変わらず。
後半のスピーディーな展開と、場面の切り替わりの早さはあとがきで言う原稿量との兼ね合いなのだろうか。流し読みでいいや、ってなってしまう。サクサク読めるライトノベルの長所と言うべきか。
評価:★★☆☆☆