あなたは人間関係に悩んでいませんか?
内容(「BOOK」データベースより)
「なぜ、占い師は信用されるのか?」などテレビ・ネットで話題の裏コミュニケーション術、コールドリーディングがDVDで学べる。ツィッター、メールなどで使える「コールドリーディング文章術」付。
「え、なんでわかったの? たしかに悩んでいる節はあるんです」と思ってしまったあなたは、この本を読むべき。
セラピストでカウンセリングや催眠療法にも精通している著者だけに、装丁のキラキラ感がいかにも幸福感を煽るセラピー的な悪く言えば胡散臭さが漂う。
本書ではコールドリーディングという占い師や教祖などが使う巧みな話術を紹介し、その方法論、理論について言及している。
DVDが付属されており、著者のコールドリーディングのセミナーを収録しており、本の内容はそれに平行したものとなっている。本の内容量的にこの価格帯では比較的高価なので、DVD収録で値上げしているのだろう。
このコールドリーディング、コミュニケーション技術としてかなり優秀な印象。相手が考えていることをこちらがわかっているような印象を与え、人から信頼されることに非常に長けている。人を騙すことに用いるのではなく、人から信頼されるために用いる技術であり、これを使うインチキ占い師も『相手に信頼させてから、騙す』のである。
そこを履き違えないよう著者も述べている。
「胡散臭い」と思う方が多いだろうが、読んでみれば案外スムーズなコミュニケーションのヒントくらいにはなるのかもしれないが、どうも山勘に近いテクニックという点で経験が必要となり、扱いづらそうだ。
本の構成は、以下の通り。
●第一章『コールドリーディングで「特別な存在」になる』
ここでは、主題に挙げている『特別な存在』とは何か。なぜ信頼されるのか、なぜ占い師に騙されるのか、といったコールドリーディングの導入部分に当たる内容が記されている。
●第二章『コールドリーディングの初級テクニック① ストックスピール』
ここでは、ストックスピールという技術を紹介。この理論で、「なぜ占い師は自分の考えていることがわかるのか」「なぜブログやツイッターはトラブルになりやすいのか」といったことが理解できるようになる。
●第三章『コールドリーディングの初級テクニック② Weタイプ/Meタイプ』
ここでは、大きく分けて2タイプの性格面での傾向を記している。このWeタイプとMeタイプ、それぞれで効果的なしゃべり方、してはいけないしゃべり方がある。
人類を2パターンで分けられるわけないじゃないか、というのが正しいのだが、あくまで傾向と対策程度で留めておきたい。
●第四章『コールドリーディングの初級テクニック③ サトルティ』
ここでは、サトルティというテクニックを紹介。これはいわばコミュニケーションの後出しジャンケンみたいなもの。相手の反応に対して対処し、それだけで信頼を勝ち取ることができる何ともありがたい方法。
●第五章『中級テクニックへのヒント ミスをさばく話術』
相手の考えていること、身辺について触れるなら、どうしてもミスは避けられない。その場合も、コールドリーディングの使い手なら、釈然と対処してのける。この章は、そのヒントを書き記している。『ヒント』となったのは、人間同士の関わりなので、どうしても正解や不正解は存在しないからである。
●付録『ツイッター&メールで使える短い文章で心をつかむ技術』
最近流行のツイッターや必須コミュニケーションツールであるメールにおいて、書くと効果的なことや悪いことを挙げている。これを読めばツイッターが流行った理由さえわかってしまう。
ビジネス場面で活躍できると思われる素晴らしいコミュニケーション技術であることは実感できるのだが、やはり人と人との付き合い上の物なので、これで上手くいくという保証は薄く、不自然にならない練習も充分積む必要がある。
DVDの内容は、本に書かれている内容の通りなのだが、実際の会話や雰囲気を演じることで、ケーススタディとしては優秀ではないだろうか。
抽象的なことばかりで捲し立てられる自己啓発本というほどの内容ではなく、しっかりとしたコミュニケーション技術鍛錬の教科書という風にはなっているので、買って失望することはないはずだ。
ただ、ネックはやはり内容の薄っぺらさだろうか。拾った知識で趣味程度で書けそうな内容なのが痛い。
評価:★★☆☆☆