「暗示」で人を無意識に動かす
内容(「BOOK」データベースより)
そんな悩みは「暗示コミュニケーション」で解決!デキる人の多くが実践している「暗示」を使うことで、人間関係はもっとラクになる!誰でも使える、人をスイスイ動かす心理術。
いつからか流行りだした、人は~9割系タイトル。
私が拝読している心理学系の本はたいていこの著者のものなので、店頭で見かけてついファン的な感覚で買ってしまった。
各章は次の通り。
●Prologue『「暗示」を使えば、こっそり心理誘導できる!』
まずは日常的に使われる暗示効果についての簡単な説明を行う。心理学者の引用で、意識よる力は氷山の一角にすぎず、無意識が人間の行動の大半を司る、という。その無意識に語りかけることが暗示である。
暗示という言葉では難しい気がするが、本項で挙げられている『上司に対する「はい、わかりました」の返事』一つでも暗示効果は充分にある。口先だけか、真摯に受け止めているか、の判断は、意識によるものよりも直感的な無意識による部分が強く出るというもの。
本書の主眼となる
『暗示コミュニケーション』の体得に向けての導入部と言える。
●第一章『あらゆる場面で人に好かれる「安心感」の与え方』
副題は、『
警戒心をとく暗示』。
他人に好かれる人は、相手に安心感を与えられることが多い。一緒にいると安心する。リラックスできる。そういう人があなたの周りにいるだろうか。そういう人に対して多くはきっと好印象を持つはずである。
その「安心感」を作るためには、どういった立ち振る舞いをするのかが本章であり、
好かれる人のオーラというものが暗示という理論で納得できた。
●第二章『この「同意ムード」で相手はNOと言わなくなる!』
副題は、『
乗り気にさせる暗示』。
本章では、説得の場面を想定している。身近な頼み事から営業などで役に立つ、自分を信頼させる技術が語られている。
暗示という観点では、やはり表情が非常に重要だな、と実感させられた。
●第三章『心から信頼されてしまう上質な「会話テクニック」』
副題は、『
ネガティブな感情を消す暗示』。
全体的な内容と重複気味な章題だが、信頼を勝ち取ることのできる会話テクニックを紹介。まぁ、ありがちというか暗示効果の話云々を除いても、重要だな、と思われるもの。人心掌握術というほど素晴らしいものではないが、暗示を与えるという観点で説明している。
●第四章『「賢く譲歩」して、スイスイ意見を通す!』
副題は、『
結論を誘導する暗示』。
ここでは、上手く譲歩することで自分の意見を煙たがれる事無く通す方法などを提示。また、誘われたり提案されると断りづらい状況下で、どうすれば綺麗に断れるかということも多く触れている。
社会人になると、この技術を使っている人は実際かなり多い。常識的と言われるかもしれない。ただ真っ向から正直に自分の意見をズバズバ言ってしまう人には、この章を見てほしい。
●第五章『困難な相手を手玉にとる「イメージ操作」の極意』
副題は、『
人を動かす暗示』。
これまた章題は違えど、基本的には人の気持ちを動かすことが主題の内容。同じ内容の事柄を誰かに説明するにしても、工夫の仕方一つで相手からの印象は全く変わってくる。その理由が分かる心理的戦術がここに書かれている。例えば、数字を使ったトリックでは、『タウリン1000mg配合』と『タウリン1g配合』では、前者の方が明らかに効力がありそうというイメージ操作がある。
●第六章『「プラスの自己暗示」で一気にパワーアップする!』
副題は、『
自分を元気にする暗示』。
「自分は駄目な人間だ」などと思っているあなたにお勧めな章。結局のところ、自分をよくするためには行動することなのはそうなのだが、「行動したところでいい結果が待っているわけない」「そうは言っても…」などと後込むことは仕方がないかもしれない。そんな時には本章の自己暗示が効果的と言える。
自分に負の暗示をかけているようでは、そのまま本当に駄目になり堕落してしまうもの。どうせならポジティブに、いい暗示をかけていきたい。ただの思い込みも、実際に効果があるということが心理学で立証されているようだ。
各章には幾つもの項で構成されていて、
その項ごとに『こっそり心理誘導するルール』という一行程度の簡素にまとめられた法則で締めくくっているので、覚えやすく復習もしやすい。
『人は「暗示」で9割動く!』というタイトルの通り、自分の評価を左右させたり、相手を説得したりする場面で活躍する理論が多数揃っている。第六章の自己暗示は、自己啓発的で自分に自信が持てない人にぴったりな章である。
内容は非常に分かりやすく、読者が吸収しやすい。
ありがちな内容かも知れないが、暗示と言われて「催眠術みたいなもんでしょ?胡散臭い」と先入観が植え付けられている人はご一読あれ。
評価:★★★★☆