残念としか言いようがない
まず、タイトルに心理学とあるが、あまり心理学チックではない。人の心の動きは確かに描いているが、引用などは心理学者などではなく、洋書(具体的になんの本かわからなかったりする)。
著者の略歴を見る限り、心理学を専門にしているわけではなさそうだが、頭はいいようで、英語を巧みに使い、洋書を原文のまま引用していたりする。
これは残念ながら読む上では障害でしかない。さっさと翻訳文だけ書いて欲しいものだ。また、心理学というよりも自己啓発の色が強い内容のわりに、解決策がない。ただ、「やる気が出ない人」「挑戦するのがばかばかしい」「行動に移すことを嫌い、理屈をこねる人」の気持ちばかり述べていて、「それをどう打破するのか」という点が薄すぎる。
私の周りにはそういう人物がいるので、興味深いと思ったはいいが、読後の感想は「それで?」という気持ちでいっぱいである。わかっていることばかりを言われるのである。
著者の経験からくる記述なのか、やたらと「こういう人はこういうもので、こういうことを考えているのだ」とまるで心理学的見地から証明されているように決めつけた言い方も多々ある。
実際にその通りかも知れないが、そういう人と付き合って、ある程度心の動きを知れば、自然とわかるようなことであって、わざわざお金を出してまで読みたい内容ではない。
さらに残念なのは、同じような内容を書きすぎているのだ。要は薄っぺらい。目次に書かれてある副題を読み上げていくだけで、本書の内容がわかり、それ以上のことはわからない。と言ってもいいくらいだ。
本書はそういった点で、著者の考える、駄目な人間(特に若者)に対しての『愚痴』ではないだろうかと私は思ってしまった。
この厚さでこの値段は安めだな、と思っていたが、内容が内容だったからと思わずにいられない。むしろ、この値段でも残念だ。
と、酷評に至ったが、自分自身の感情に視野狭窄気味だったり、『何もする気が起きない』『自分は駄目だ』と思っていたりする人、また目次を見て「お!」と思った人は手にとっても良いかもしれない。
私のように、知的好奇心で手に取ると……これ以上は控えます。
評価:★☆☆☆☆
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