未来を読み、資産運用の失敗を防げ
内容(「BOOK」データベースより)
『日経マネー』など、マネー誌を中心に各メディアで「最も予測が当たる」と評価されるカリスマFPが教える!著者の予測が当たる理由。当たらないエコノミストの予測は、もういらない。
カリスマFPと呼ばれる所以が分かった気がした前書
『サブプライム後の新資産運用―10年後に幸せになる新金融リテラシーの実践』を読み、一層この著者の資産運用に対する意見を聞きたくなり購入。
お金は大事。「金こそすべて」とまでは言いたくないが、それほどお金(税金等も含め)の使い道は考えられて然るべきものだ。
資産運用は一生の付き合い。それだけに、失敗は一生の失敗になる。
そう考えると、どんどん勉強したくなってしまったというのが私の現状。
章題は以下の通り。
●第1章『サブプライム問題を総括する』
サブプライム問題による資産運用の変化、特にアメリカ人の資産運用の分析と今後の方向性について述べている。
●第2章『これからの世界経済はどうなるのか?』
リーマンショック以後の世界経済の行く末を、サブプライム問題による波及効果の予想などを交えながら推測している。著者の考える対策はなかなか大胆ではあるが、結局世界全体が消費面で萎縮する元凶を絶った後は、自分たちのお金で元の状態に戻すよう手助けするしかないのだろう。
また、GDP(国内総生産)に加えてGDH(国内総幸福)といった新しい指標を設けるべき、という主張はなかなか面白い。
●第3章『なぜ、エコノミストの予測は当たらないのか?』
エコノミストの分析には、ほとほと呆れかえるばかりという人は多いだろう。私自身、エコノミストの言っていることのむしろ逆の方が当たるとか、エコノミストとか所詮後付けで理論を述べてるだけ、といった印象は捨てられない。
著者なりに、なぜエコノミストの予測がこんなにも駄目なのかを解説している。
●第4章『経済予測力の磨き方』
ここでは、章題の通り、経済の大局観を養うためにどうすればよいかを述べている。基本的に、著者の培ってきた3つの学問、歴史学、心理学、哲学の観点で教授する。なんか自分がその力でリーマンショックを当てたんだ、という
少し盲目的自己顕示にも捉えられる気がする。
●第5章『資産運用に失敗しない金融機関の選び方』
ここでは、金融機関の現状を示し、読者に警鐘を打つ。
実際問題、この章に書かれている内容で損をしている人間が大半だというのは容易に想像できる。預貯金・投資信託など、著者が考える資産運用の正しいあり方を示すとともに、オススメの金融機関を記した重要な章である。
また、以前読んだ同著者の
『サブプライム後の新資産運用―10年後に幸せになる新金融リテラシーの実践』におけるFXに対する表記の補足がされており、私が当サイトで指摘した疑問は払拭された。きっと多くの読者から同じ指摘を受けたのだろう。
●終章『日本経済復活への政策』
年金、国債、雇用、
絶望的な経済状況の日本が復活するにはどうするべきかを著者なりに説く。自分(の生きている時代)がいかに不幸で、政府がいかに駄目で、自分でできることがどれだけたかが知れてるか分かってしまうだけにこういった内容は敢えて耳にしたくない。
経済予測力を磨くという点では微妙な印象があった。たしかに金融工学や経済学、金融機関を妄信しているのが駄目だという点は勉強になったが、歴史学、心理学、哲学に邁進して、総合的に判断せよ、と言われても「それってどうなの?」という気分になる。
ただ、それよりも著者の的を射ている様々な意見や嗅覚には驚くばかりだ。
投資信託関連の書籍を読了した自分としては、本書の内容は少し困ってしまう。
著者はこれらの本の主張をどう捉えているのだろうか。
たしかに、手数料・信託報酬は問題ではあるが、それだけ運用をする手間・時間・考えるストレスを節約しているという計算を考えれば理に適ったリターンな気もする。もちろん、儲かると決まっているわけではないのだが。
評価:★★★★☆
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