子どもと大人とその中間
内容(「BOOK」データベースより)
「依存」と「過剰な甘え」の裏返しが暴力に!普通のよい子が荒れていく。なにが不満なのか?どうしてほしいのか?暴力に隠された子どもの心理を徹底図解。
タイトルの通り、親に暴力をふるう子どもの心がわかる本。
本書を含む『こころライブラリーイラスト版』は、イラストと図やチャートを巧みに駆使した作りとなっている。ページ構成が多様なのでいろいろ目移りしてしまうが、活字より図として理解をし、吸収しやすさはぴかいちかと思う。
さて、子どもが反抗期を迎えると、親としても混乱してしまいうまく対処したいところではあるが、それが感情を逆撫でしてしまう結果になったりする、という難しい時期。暴力をふるう程ではなくとも、この時期は親としても育児・教育が正しかったか自問自答したりするものではないだろうか。
これは、その一助となりうる本である。
章構成は以下の通り。
●第一章『「症状」の裏にある意味を考える』
ケース①『「自慢の息子」に暴力をふるわれた』、ケース②『娘が援助交際をしているらしいが』を元に、こういった行動の背景には何があるのか、子どもの本心、無意識下の感情を解説する。
●第二章『暴力はどこから生み出されてきたか』
ケース③『子どもひとりに注がれてきた12の親の目』を元に、親の教育に対する姿勢の見直しになる章。よい子であることに何の問題があるのか。子どもの育つ環境とそのウラ側に潜む心の変化といったことが書かれている。
●第三章『心に嵐が吹き荒れるとき』
ケース④『僕はいったい何者なんだろう』を元に、思春期に抱えがちな悩み、つまり、生死に関する哲学的なものから、親の人生を見ることで感じる価値観や人生設計などを確認し、いろいろと荒れやすい思春期の子どもの心の構造を知ることが出来る。
●第四章『自己の確立が思春期の課題』
ケース⑤『親といっしょのところを友人にみられたくない』を元に、自我の確立が人生においていかに重要かを説く。親があまりに大事に育てすぎ、遊び道具や社会勉強の取捨選択までして、親の敷かれたレールを走らせることの危険性を知ることができる。また、エリクソンの発達段階、など専門的な分野も印象的だ。
●第五章『親が変われば子どもも変わる』
ケース⑥『家庭内暴力を長期化させる親の対応とは』を元に、親がこれまで述べてきたような子どもに対して、どう接したらよいか書いている。
私は実際に子育てをしているわけではないので、実践的かどうかは判断しかねるが、思春期の頃の心の動きを学ぶには良い本であり、親と子どものあるべき関係を確認するのにいい本だなぁ、という感想だ。
評価:★★★☆☆
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