この巻はいいぞ!
内容(「BOOK」データベースより)
町工場が作った洋服を、世界的に名の知れたショップに流通させられると豪語する女が現れた。雨森華蓮・26歳。海外の警察も目を光らせる彼女のもうひとつの顔、それは“万能贋作者”だった。彼女が手掛ける最新にして最大の贋作、MNC74とは何か。鎌倉の豪邸に招かれた凛田莉子を待っていたのは、不可思議にして目的不明な鑑定依頼の数々だった。莉子にとって最大のライバル現る。書き下ろし「Qシリーズ」第6弾。
と思わせる出来。
今回は万能贋作者という、万能鑑定士の対極といっていい位置づけの相手が現れる。概要を見ただけでそそる内容だ。
万能贋作者、雨森華蓮からの要領を得ない挑戦的な鑑定依頼に、彼女の鑑定眼と雨森華蓮が何を考えているのかわからないというストーリーの面白さがマッチしていた。個人的に、前の巻と違い読んでいて面白い巻であった。
真相もしっかりしていて上手く詐欺師との鑑定力での対決と事件の解決を描いている。結末はもう一つの王道パターンの方が好きだったかなぁと思いはしたが、評価を下げるほど好みじゃないわけではない。本巻は満点でOKだ。
それにしても、これだけ書店で平積みされ、刊行ペースも速いQシリーズ。アニメ化、ドラマ化されていないのは、実在する企業や製品、土地や時事ネタを題材にしすぎているからなんじゃないか、と邪推してしまうほど、我々の生活に身近なものを取り扱っている。そういった点、常々よい作品だと思う上、著者の博識と犀利な筆致がいかんなく発揮された作品である。
評価:★★★★★