いい雰囲気が出てます
内容(「BOOK」データベースより)
鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。だが、古書の知識は並大低ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも、彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。これは“古書と秘密”の物語。
万能鑑定士Qシリーズの本屋さんバージョン?と身構えていたが、淡々とこなしていくような万能鑑定士に比べ、いろいろと雰囲気のある作品だった。
本書は以下のような構成となっている。
●プロローグ
●第1話 夏目漱石『漱石全集・新書版』
●第2話 小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』
●第3話 ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』
●第4話 太宰治『晩年』
●エピローグ
タイトルになっている書籍に関する事件?というかちょっとしたミステリーチックなお話。
全体的にホッとするような柔らかい雰囲気に包まれた話が多く、読んでいてそこは一つの魅力である。
古書一冊からこんな話が書けるというのはなかなかオリジナリティがある。
もちろん、各話の本を知らなくても大丈夫な内容であり、ライトな気分で安心して読める。
連作短編集で終わりもきちっとしている。2巻が出版されているようだが、この巻だけでも完結できる清々しい終わり方。読了後にふと小さな古本屋を訪れたくなってしまう素晴らしい作品だと思う。
作品の面白さは少し物足りなさがあったが、一つの完成型を確立しつつある独特の着眼点やオリジナリティを買ってのこの評価で。
評価:★★★☆☆
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