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ストレス対策はこれでバッチリ!


ストレスマネジメント入門 (日経文庫)
内容(「BOOK」データベースより)
緊張した体を癒す。ストレスを根本から減らす。定評ある手法を厳選して紹介。「脳が疲れる」時代の必須スキル。







と行けるかもしれない。

抱えているストレスをコントロールする、ストレスマネジメントの入門という実用書。主に仕事や職場でのストレスについてを解説している模様。私もストレスによる現代病にかかっている身であり、本書の内容にはとても興味がある。

章題は以下の通り。

●第1章『あなたを取り巻くストレスを再確認しよう』
章題の通り、我々の生活にあるストレッサーについて分析しようという章。敵を知らずに対策を立てられるか、という点もそうだが、案外自分が感じているストレス自体に気づけていない人も多いはずだ。ストレスの講義のまとめごとに問いかけ式の自己分析の促しをされる。これが自分の心の内を抉るように的を射ていて、ストレスマネジメントというものがどんな考え方で成り立っているのか、すでにこの章で垣間見える。
この章だけでページ数はそこそこあり、バーンアウト(燃え尽き症候群)やうつ病の特徴や発症の経緯、セルフチェックテストといった点は実用性充分。私自身該当する項の多さに危機感を抱いた。
様々なストレスやストレスから起こる疾患に対する対策はこの章以後に語られており、こういうストレスにはこの対策、といった風なページジャンプもある。

●第2章『ストレスマネジメントに取り組む基盤をつくる』
本章からがストレスマネジメントの本題、ストレス対処法についてである。ここでは、生活リズムや睡眠の質、心の疲れのセルフモニタリングなどに触れている。

●第3章『タイムマネジメント――時間使い上手でストレス激減』
章題からわかるように、時間の使い方についての見直しを提案する章。仕事に追われる身でも時間使い上手になるための工夫を書いている。

●第4章『認知的ストレス対処法――物事の捉え方が変わればストレスも変わる』
『認知』つまり、物事の捉え方について変えてみることで、ストレスに対処しようという章。プラス思考やマイナス思考などという簡単な言葉で言い表せるほど浅くなく、勉強するところが多かった。
まずは、自分の思考パターンを分析させ、それを修正する方法を示す。

●第5章『コミュニケーションは身を助ける』
ここでは、自分の考えや感じていることを上手く伝えられない、といったコミュニケーションの苦手な人に対して、アサーションという自己表現法、を教えてくれる。怒りやイライラを上手に処理する、アンガーコントロールという項も印象的。私は勝手に自分は自己表現できる方かな、と思っていたが、とんでもなかった。本来できるべき自己表現ができないことで知らぬ間にストレスをため込むことになるのだろう。

●第6章『適切にサポートを得よう』
ここでは、中高年の特に男性に多い「ヘルプ」が言えない人を例に、時には助けや援助を求めることも必要だと言うことを主張。

●第7章『リラクセーションのすすめ』
筋弛緩法や自律神経訓練法のようなリラクセーションの方法をザッと説明。もっと詳しく知りたい人は本書の参考文献に当たるのが良さそうだ。

●第8章『ストレスに強くなるチャレンジングという方法』

今までの章のように、ストレスを和らげたり、自分を変えていくこと、癒すこととは違い、ストレスに真っ向から挑む方向のアドバイス。ページは少なく、ストレスに向かう(悩む)とき、「こうしなさい」というよりは、「こうしてはいけない」という感じの助言。

●第9章『「働くこと」を見直すキャリアカウンセリング』

簡易なキャリアカウンセリングといった感じ。働くことのの意義、やりがい、自分のやりたいこと、なりたい姿といった部分を仕事の中で見いだすことを促す、といった具合だが、こんな考え方ができるようになる労働環境ならよいもんです。無理なら辞めるべきといった感じなのかなあ、と。

●第10章『ストレスマネジメント活用事例――ストレス生活への処方箋』

本章は、ありがちな仕事の悩み事例を挙げて、その人に応じたストレス対処法を提唱する構成。『多忙で時間に追われる生活』『仕事のプレッシャーが大きくてつらい』『同僚に仕事を押しつけられる』など、様々なケースに対応。

全体として、仕事のストレスに対処する方法論を述べた内容。仕事に限らずストレスが溜まっているという自覚のある人、または自覚が無くとも最近体調が悪かったりする人には必見の書と言える。
私にとってはかなり役に立つ内容だったので、満足である。
ストレスを軽減はできても、ストレスの元は消せそうにない感じはあるが、そこは第4章や第8章、第9章あたりが対策案といったところだろうか。
ストレスマネジメントやリラクセーションなどについて、より深く突っ込みたい人は別の書物が必要だが、入門としては非常に実用的だった。


評価:★★★★☆


ストレスマネジメント入門 (日経文庫)
「ストレスマネジメント入門 (日経文庫)」
 [新書]
 著者:島 悟,佐藤 恵美
 出版:日本経済新聞出版社
 発売日:2007-04
 価格:¥ 872

 
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男は女の・・・・・・


女は男の指を見る (新潮新書)
内容(「BOOK」データベースより)
本書で明かす事実その1「初対面で、女は男の顔よりも指を見る」。その2「ハゲの男は病気に強い」。その3「自分と違う免疫の型の持ち主ほど、匂いがいい」。その4「ピルは女の勘を鈍らせる」。その5「浮気で得をするのは女である」…数々の実験や最新データをもとに動物行動学で読み解く、「色気」「魅力」「相性」の正体。「遺伝子の企み」がここまでだったとは!次々常識が覆される高揚感あふれる一冊。




は、言わなくても分かりますね。

最近は生物学に興味を持ち始めた濫読気味な私。今回は書店で見かけた気になるタイトルと帯に惹かれたこの本。『男が女の胸や尻に目が行くように、女性は男性の指を見ている』といったことは何度も聞いたことがあるが、その点よりもむしろ外連味溢れる章タイトルに釣られた感じ。
動物行動学に精通している著者の本。一つ読んでみようと思う。

章題は以下の通り。

●第1章『人類最大の発明と繁殖の掟』
排卵の無自覚、常に膨らんでいるおっぱい、ペニスの大きさや太さといったように他の動物と人間との違いを分析し、その原因や進化の過程についての言及から始まる。チンパンジーのような霊長類を比較対象の主とした研究結果を用い、人間の生殖機能の状態を客観的に分析し、その原因を推察している章。
想像したくはないけれど、他の動物の驚愕の生態系も如実に語られている。

●第2章『女は男の指を見ている――Hox遺伝子の話』

本書のタイトルにもなっている本章。ドーキンスの提唱した『利己的遺伝子』の話のような遺伝子論から始まり、男性や女性が異性を見るときに気になるパーツの統計を挙げ、指を見ることの意味や遺伝子と指の関連性に繋ぐ。
『はじめに』でも触れた、薬指と人差し指の長さの比とその関連性についてもここで触れられる。しかし、この研究結果が本当であるならば、薬指にはすごい力が眠っている。勉強になった。

●第3章『ハゲの発するメッセージ――テストステロンの話』
これまでの章でも取り上げられているテストステロンという男性ホルモンの力やハゲの要因とハゲの人の傾向といった風な内容。このテストステロンが人体、健康状態、生殖にどのように影響しているのかを論じており、去勢した人物なども対象とした研究結果を披露している。芸能人や有名人の例はいささか都合のよい解釈に思われるが、その点以外は納得がいく推論である。

●第4章『「選ばれし者」を測ってみると――シンメトリーの話』
『選ばれし者』つまりはモテる者を他の生物の研究を経て、法則性を見いだす章。軽く触った程度の内容だが、フェロモンやモテる要素といった部分について書かれている。

●第5章『いい匂いは信じられる――HLAの話』
HLAという抗原や免疫、フェロモンの話が主。こんなことだって実験としてあるんだよ?というだけで、「ふ~ん、それで?」という感想になる。目から鱗という程のインパクトはないが、フェロモンや匂いの原理は知ることができるかもしれない。

●第6章『浮気するほど美しい――浮気と精子競争の話』

浮気や寝取られの原理について人間はもちろん、他の動物からの研究結果を用い、論じている。浮気をすることで誰がどんな利益を得るのか、浮気が多い動物にはどういった共通点があるのか、といったことが書かれている。

●第7章『日本人はあえて「幼い」――ネオテニーの話』

ネオテニー(幼形成熟)は、人間全般、特に女性に強く見られるものらしく、他の動物(霊長類)との決定的な違いである。この章では、特にこのネオテニーの強い日本人(モンゴロイド)の特徴を生物学の観点で指摘している。


インパクトのある話が多く、科学的根拠もある感じではあるが、全体的に実験対象が少ないものが多く、統計としての信用性が低い感じがする。都合のよい例だけを挙げて述べられているとも取れる内容なだけに、いまいち真に受けられない部分が多い。
それにしても、全体的に何とも著者の主張成分が強い本。著者の推論が多いのもあるかもしれない。時折、冷静さに欠ける自己主張が繰り広げられている気もしたが、多分気のせい。

社会や心理面にあまり触れず、ひたすら(優秀な)遺伝子を残すことに焦点を当てた研究内容はさすが生物学と思える。その点は読む分には面白かった。


評価:★★★☆☆

女は男の指を見る (新潮新書)
「女は男の指を見る (新潮新書)」
 [新書]
 著者:竹内 久美子
 出版:新潮社
 発売日:2010-04
 価格:¥ 714

 
子育てってつらいよね……


子どもの脳によくないこと (PHPサイエンス・ワールド新書)
内容(「BOOK」データベースより)
赤ちゃんの脳科学の研究者であり、日本赤ちゃん学会の理事長も務める著者の本分は小児科医。現場での数十年の経験と最新の学説から、子どもの脳によくないこと、やっても無意味なことをわかりやすく伝授。触覚による認識を邪魔すること、早期教育、父親の影響…。わずかな注意点、正しい知識を知れば、子育てはぐんと楽になる。さらに望ましい子育てとして、「自分で考える子」に育てるためのヒントも掲載。




この本を読んで楽になってください、といった感じの内容
かなぁ、と。

子育てと全く縁のない私だが、大学時代教育学に触れていたこともあり、また甥が生まれたこともあって、少し勉強してみようという現状。
それにしても、子どもというのは恐ろしい。私たち大人のやっていることをいつも見ていて、それを自分のものとして取り入れようとしている。気づかないうちに誰かのやっていたことを真似したりするようになる。
そんな子どもの育て方について赤ちゃんの脳科学に詳しい著者の高説を拝聴しようと思った次第だ。子育ての悩みをたくさん聞いてきた著者の言葉はとても為になると思われる。

章立ては以下の通り。

●第1章『妊娠中・授乳期の子育て』
母体が胎児に与える影響などを風説や持論を交えて研究内容を論述している章。『お腹の中にいるからと言って、母親と胎児は一心同体ではない』という発想を始め、赤ちゃんの触覚に関する内容は言われてみれば納得できる、とても勉強になる点だった。
また、全体的に、妊娠中・授乳期の母親に対するケア・アドバイスが主となっている。

●第2章『幼児期の子育て』

ここでは、赤ちゃん・幼児期の子どもとの付き合い方と教育のあり方について述べている。具体的には、おもちゃの扱い方やテレビ等を見させることの教育的な影響、抱っこのしかた、食育、睡眠リズムなど多岐にわたるボリュームもあり、本書のメインとなる部分だろう。母子家庭や暴力や虐待といったケースにも触れており、子どもの育て方や成長への影響について考察している。

●第3章『しつけ、学習に関する注意点』
ここでは、しつけや学習させることについての注意点を述べている。脳神経に関連する専門性に富んだ学術的解説も交えながら展開している。

●第4章『望ましい子育て』
最後に、著者からの子育てのアドバイスをまとめている。『先回りや後追いをしないこと』という点は、自分としてはとてもやってしまいそうなことなので、今後機会があれば肝に銘じたいものです。


全体的に、数ある育児書などで取り上げられる子育て論に科学的根拠がないものを挙げ、「育児とはこういうもの」と断定せず「人それぞれ」「子どもによってまちまち」といった具合の無難な教授。要点としては『子どもを観察する』といった部分に重きを置いており、『これはやっちゃ駄目』といった事柄は数点しか指摘していない。
結局、その数点が本書のタイトル『子どもの脳によくないこと』になるのだろう。
他には、子育ての苦労に対するアドバイスや子育ての楽しみ方、母親や父親のあり方といった成分が強い本だった。
肩肘張って、忠実に育児本を実践しようとしている親、子育ての方法に悩みストレスの溜まっている親に良い処方箋になりそうである。


評価:★★★★☆


子どもの脳によくないこと (PHPサイエンス・ワールド新書)
「子どもの脳によくないこと (PHPサイエンス・ワールド新書)」
 [新書]
 著者:小西 行郎
 出版:PHP研究所
 発売日:2011-03-19
 価格:¥ 840
 
 
いまいちなんですよね……

万能鑑定士Qの事件簿IV (角川文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

希少な映画グッズのコレクターの家が火事になり、プレミア品の数々が灰になった。翌朝、やはりレア物のパンフレットやポスターを扱う店が不審火で全焼する。連続放火魔の狙いは、かつて全国規模でヒットを飛ばしながら存在を封印された1本の邦画だった。ミリオンセラー『催眠』の主人公、カウンセラー嵯峨敏也が登場、凛田莉子との初顔合わせを果たす。頭脳明晰な異色コンビが挑む謎とは?書き下ろし「Qシリーズ」第4弾。



万能鑑定士Qシリーズ、第4巻。表紙絵に表情や仕草が出てきたのは、意味があるのか、ただのマンネリ防止か。

今回の話はとある映画のポスターを焼失させるため放火もいとわない犯人をつきとめるお話。
催眠シリーズに登場する臨床心理士の嵯峨も登場し、どんな話かとわくわくして読んでみた。

けれども、個人的にはいまいち面白味に欠けた感じだ。本作の見所、主人公の鑑識眼は健在だが、それ以外での真新しい要素はなく、「この巻はいいぞ!」と思わせる内容はなかった。
犯行の謎的な要素も魅力がなく、臨床心理士の嵯峨の登場もこれといった必要性は感じられず、真相の意外性もそれほどなかったというか。
シリーズものにとって不可避かもしれない残念な巻、という印象だったが、きっと人によると思う。あくまで実に個人的な感想である。


評価:★★☆☆☆

万能鑑定士Qの事件簿IV (角川文庫)
「万能鑑定士Qの事件簿IV (角川文庫)」
 [文庫]
 著者:松岡 圭祐
 出版:角川書店(角川グループパブリッシング)
 発売日:2010-06-23
 価格:¥ 540
 
 
人間の能力の盲点を突く


錯覚の科学
内容(「BOOK」データベースより)
サブリミナル効果などというものは存在しない。いくらモーツァルトを聴いても、あなたの頭は良くならない。レイプ被害者は、なぜ別人を監獄送りにしたのか?脳トレを続けても、ボケは防止できない。「えひめ丸」を沈没させた潜水艦の艦長は、目では船が見えていたのに、脳が船を見ていなかった。徹底的な追試実験が、脳科学の通説を覆す。




ちょっとタイトルが長くなりすぎるので、著者関連はこちらに書かせていただきます。クリストファー・チャブリス (著), ダニエル・シモンズ (著), 成毛 真 (解説), 木村 博江 (翻訳)です。


本書は章題についてを述べるというよりは、注意の錯覚が起こした事件・事象などを多数紹介し、解説する形である。章題の内容はその中の代表的な案件ということだ。
章題は以下の通り。

●はじめに『思い込みと錯覚の世界へようこそ』
思い込みと錯覚は、エッシャーの『無限階段』のような錯視だけでなく、どこにでも存在している。マスコミや政治家達に翻弄される市民は、多くの錯覚を起こされていたりする。本書を読むことで真の現実を知るかも知れない、という主張。
『一セントの節約は一セントの収入』という言葉は、わかっているようで言われてみないと実感出来ない錯覚面の的を射た言葉だ。我々は入ってくるお金と自分が持っているお金は別のように感じているという証拠である。
そんな興味深い錯覚の世界へと誘う冒頭部。

●実験Ⅰ『えひめ丸はなぜ沈没したのか?――注意の錯覚』
白シャツを着た人のバスケットボールのパスの回数を数える『http://www.youtube.com/watch?v=vJG698U2Mvo』のような動画を使い、注意の錯覚を実感させてくれる章。
一つのことに注意することによって人がどれほど盲目的になっているかを実証している。また、注意の外(予定外の事態)に対して気づくことができるかどうかがこの章の焦点。我々にもよくある光景が車の運転中の携帯電話と言える。携帯電話で話し中の運転と普通の運転では、前方を見る目、ハンドルを切る手はほぼ変わっていないが、注意力は衰える。特に、予定外の事態(歩行者が飛び出してくる、など)の時には対応出来なくなることがより顕著である。
こういった見落としの他に聞き落としなども紹介される。

●実験Ⅱ『捏造された「ヒラリーの戦場体験」――記憶の錯覚』
前章では、『非注意による見落とし』だが、この章では『変化の見落とし』『見落としを見落とす見落とし』といった風に、人間の記憶がいかに錯覚を起こしているかを述べている。映画の前後のシーンの矛盾を例に挙げ、人間が予期出来ない変化には弱いことを証明。
また『フラッシュバルブ記憶』という覚えていると錯覚しやすく、容易に取り出しやすい記憶についても書かれている。
この章を読むことで、二〇〇八年大統領選でヒラリー・クリントン氏が演説した内容がなぜ偽りの体験だったのか、を理解できる。

●実験Ⅲ『冤罪証言はこうして作られた――自信の錯覚』

ここでは、自信というものがどれだけ錯覚を起こすか、また自信が錯覚であるか、という点について述べている。なかなか面白いな、と思ったのは『能力不足の無自覚』だ。自信があることと正確性は全く別の性質であるどころか、むしろ自信があればあるほど正確性は疑われる、という実験結果は身近でも実感することが多い気はする。
この章を読んで思ったことは、自信のある人を信じるという一般に根付いた常識は考え物である、ということ。

●実験Ⅳ『リーマンショックを招いた投資家の誤算――知識の錯覚』
研究者に限らず、我々一般市民でも知識の錯覚は起きている。自信の錯覚の派生的ではあるが、我々は思っている以上に物事について無知である。本章にあるとおり、『計画以上に時間や経費がかかる』ということは、枚挙にいとまが無い。
また一方で、情報化社会に対する警句を錯覚の科学として提唱している面もある。

●実験Ⅴ『俗説、デマゴーグ、そして陰謀論――原因の錯覚』

相関関係と因果関係の違いが焦点となる、原因の錯覚の章。『アイスクリームの消費量が多い日には、水難の割合が高い』という簡単な理論は、この原因の錯覚を理解する上で参考になった。最終的には原因の錯覚に3つの傾向をまとめている。人間の脳はどれほど都合の良い解釈をしているのか理解できる章である。

●実験Ⅵ『自己啓発、サブリミナル効果のウソ――可能性の錯覚』

モーツァルトを聴けば、頭が良くなる。というモーツァルト効果の話から始まり、脳トレやチェスなどでの知育効果やサブリミナル効果、ゲームによる認知能力の向上、といったいろいろな実験結果について考えてみる章。読んでみれば分かるが、これらの実験によって論証することは非常に難しい。錯覚というよりは、実験の限界について思い知らされるような内容だった。
自己啓発やサブリミナル効果はありえない!というような単純な内容ではない。

●おわりに『直感は信じられるのか?』
おわりに、まとめとして直感は信じられるのか、という問題を説く。

最後に解説者、成毛 真氏による『脳トレ・ブームに騙されるな!』という記事がある。見出しよりも、本書を包括するような内容である。

全体として実証するデータが日本人(の文化)にも該当するかどうかはわからない感じはする。特に謙遜することの多い日本人に実験Ⅲのような自信の錯覚の統計は当てにならないのではないか、という思いがある。

個人的には掴みこそ良かったが、徐々にだれてきたかなぁ、という印象。内容も「言われてみればそうだけど、だから何?」という気持ちになった。たしかに、深く研究されており、参考文献を挙げるだけでも数十ページも使うほどの濃い内容ではあるが、結果だけを知りたい人には進みの重たいものかもしれない。
学術的であるが故に、読者を楽しませたり驚かせたりする要素は薄め。

とは言え、専門書として捉えるならば、人間の錯覚についてこれほど深くまとめられたものはそうそうないはずだ。錯視ではなく錯覚についてであるのでお間違いのないよう。


評価:★★☆☆☆


錯覚の科学
「錯覚の科学」
 [単行本]
 著者:クリストファー・チャブリス,ダニエル・シモンズ
 出版:文藝春秋
 発売日:2011-02-04
 価格:¥ 1,650
 
 
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