逆錬金術だと……
内容(「BOOK」データベースより)
純金が無価値の合金に変わってしまう“逆錬金術”の謎を追って、凛田莉子は有名ファッション誌のカリスマ女編集長に接近する。小説の盗作騒ぎから5億円のペンダント紛失まで、数々の事件を解決に導いた莉子の行く手に、最大の謎が出現した。沖縄・波照間島で育った無垢で天真爛漫な少女が知性を身に付け、いまやマルサにも解き明かせない秘密の真相解明に挑む。書き下ろし「Qシリーズ」第7弾。
BOOKデータベースにあるように、今回は純金が無価値の合金に変化してしまう謎の物質やら、小説の盗作問題やら、様々な問題が莉子に迫る。
冒頭でいきなり有名ファッション誌の出版社に勤めている莉子が描かれているので、何事ぞ、という展開だ。
今作はそういった謎めいた事柄の一つ一つ、つまり点と点が線で繋がっていくような構成と思われる。
題材も著者らしさの光る知的ユーモアのある内容で、惹きつけられる部分は多い。
「もはや話の本筋なんてどうでもいいや。博識をひけらかしてください」という感じがある作品ではあるが、
この巻は私的には登場人物の個性も味があり、ストーリーに惹きつけられる要因となった。終わり方もいつも通りすっきりした感じで清々しい。
その一方で、
ちょっと純金と合金関係のトリックがあまりに陳腐だったのが残念。これは万能鑑定士の手を煩わせるほどのことではないと思う。その点以外では彼女の活躍は相変わらず度胆を抜かれるばかりで、勉強も兼ねたよいミステリー小説だ。
評価:★★★★☆