さりげなく良書
内容(「BOOK」データベースより)
上手な媚びへつらい&ヨイショをマスターすれば面倒な人付き合いが楽になる!上司や先輩に取り入り、後輩をたらし込んで転がす逆説的な処世術入門。
猿岩石として一世を風靡し、時の人となったもつかの間、転落。その後、毒舌タレントとして人気再復活を遂げた有吉弘行氏の処世術を綴った本。
毒舌タレント、芸人という立場からのアドバイスは非常にユニークだった。
章題は以下の通り。
●第一章『マイナス評価をプラスに変える「人たらし」の方法』
章題と言うよりも、毒舌の使い方や空気が凍ったり相手が怒っているときの有吉氏なりの対処法が多めに書かれている。一方、その章題のような
嫌われている相手からの評価をプラスに変えるという処世術は「なるほど」と思った。さすが芸能界で苦労してきた方だ。
●第二章『確実に相手を「たらし込む」人付き合いの方法』
章題は少し誇大広告な気がするが、著者なりの人付き合いの方法論を述べている。
一般的な理想的付き合いとは真逆と言ってもいい割り切った内容で、すがすがしい。なかでも、『人付き合いは「そこそこ」の浅い関係がいい』の項はなかなか的を射ていて、参考になった。
●第三章『無駄なプライドを捨てて「クズ」として生きる方法』
面白い章題の通り、「クズ」として生きる方法を解説。
要は、『身の程を知れば楽になれる』という諦観にも似た考え。成功者の語る理想論や「たまたま上手くいっただけだろ」と思わせる内容よりは好感が持てる。
しかし、悲観的になることだ、と履き違えないよう注意したい。
●第四章『単純なヤツを使って自分の「株」を上げる方法』
どうすれば自分の株を上げるか、という点。
これは心理学の本などでもよく取り上げられている効果を実践している感じで、心理学をかじらず実践しているならなかなかのコミュニケーションセンスだなぁ、と思った。いや、大方「そうだなぁ」と思う程度のことだが。
しかしまぁ、ここで挙げられた有名芸能人は、章題から「単純なヤツで、取り入るのはこうすれば簡単」と堂々と書いているが、大丈夫なのだろうか(笑)
●第五章『上司・先輩・同期・後輩を上手に「転がす」方法』
「転がす」と書いてあるだけに、かなり痛烈卑劣な付き合い方を提案している。この内容が人間としてどうかは別として、自分の程度をわきまえた考え方はすばらしいと思う。
●第六章『苦手な相手を「小バカ」にして好感度を上げる方法』
苦手な相手、あまり意見の合わない相手に対して、どう接して好感度を上げるかを教授。
これは「言うは易く行うは難し」としか言いようがない。いや、むしろ苦手な相手の好感度をそもそも上げたいと思うところから難しいのだが、上下関係利害関係などが絡むとやらざるを得ない。参考にしよう。
全体として味わえるのは、「自分は駄目なヤツ、むしろクズ。身の程を知って行動するべき」という価値観を念頭に置いている。
そこから、では、どうやってこの厳しい社会で人間関係を円滑にしていくのかを解説。
自己啓発系ではなかなか類い稀なる本ではないだろうか。
もちろん、『今、~が危ない!』とかセンセーショナルに書きたいだけの薄っぺらな根拠で奇だけ衒った内容ではない。
少なくとも、「はいはい、理想論理想論」とは思わなかった。
「それができりゃ苦労しないわ」という点はさすがにあるが、
やはり一般的な処世術とは違うアプローチがされているので、勉強に値する。
実践する分には他人にバレないように実践しなければならないほど悪質な立ち回りもあるので注意。
評価:★★★☆☆
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