会話スキルが欲しいんだよ!
内容(「BOOK」データベースより)
私たちアナウンサーが、発声や言葉に対してどのようなトレーニングをしているのか。状況に応じてどのように話し方を変えているのか。また、会話を盛り上げるためのヒント、緊張のほぐし方など、日常会話でも応用でき、生活の中で役に立つ「ちょっとした会話術」を取り上げました。
という人は本書で鍛えるべし。
テレビ朝日アナウンス部が伝える会話術についての本。
アナウンサーの修行法、アピール力、伝達力について言及しながら、営業や日常会話に対するヒントを与えるといった具合の内容。
アナウンサーを目指す方もそうでない方も、また、アナウンサーという職業に興味のある方にもオススメできる本だ。
章立てと主な内容は以下の通り。
●序章『「会話」で変わる人生とビジネス』
序章で、アナウンサーを目指すための本というわけではなく、コミュニケーションを大切にしたい人に対する本だと言うことを主張。声や言葉、人の観点で簡単に記している。
●第一章『まず、読んでみましょう』
ここでは、天気予報やニュースの原稿を例として出し、それを読者が読んでみよう、という章。正しく滑舌良く読むのはもちろんのこと、どうすれば視聴者(聞き手)に上手く伝わるか、単調にならないか、という点も言及。
また、アナウンサーや声優といった声を使う仕事ではお決まりのトレーニング原稿『外郎売』も収録しており、素人とプロの違いを軽く教えられると共に、トレーニング法も書いている。
●第二章『正しく伝わるからこそ、楽しめるのが「会話」』
本書の大部分を占める章。以下の7つの節で大きく分けられている。
『一、言葉の癖をなくして、ボキャブラリーを増やす』
『二、「大きな声で話すのが鉄則」は大間違い?』
『三、「ホメ言葉」と「敬語」の使い方に注意する』
『四、立場とキャラクターに合った話し方を身につける』
『五、人と話せる「話題作り」と「情報収集術」』
『六、初対面の人に対する「自己紹介」で差をつける』
『七、失言してしまったその時、どうするか……』
どの節も、アナウンサーの努力や苦労がわかる内容であり、かつ日常会話でも軽視できない要素を含んだコミュニケーション技術だと言える。具体例が多く、なかなか内容は濃いので、読み応えがある。
全体として、特にどのようなことに気をつけて喋っているか、ということを集約している印象。
●第三章『[保存版]「間違えやすい日本語」と「言ってはいけない言葉」』
ここでは、『相殺』『他人事』『過渡期』といった読み方を間違いやすい言葉や『役不足』『天地無用』『小春日和』といった意味を間違いやすい言葉、『藁にも縋る思い』『海千山千』といった謙遜や相手を立てるつもりでいった言葉が真逆になったりする言葉を始め、さりげなく言ってしまう失言や若者言葉の使い方や使ってはいけない若者言葉といった具合に、表題通りの内容が簡潔にまとめられている。
保存版と言うだけあり、なかなか使い方が自分で怪しくなってきたな、と思ったり、忘れたりした時に読み返したい内容である。
●第四章『[参考資料]アナウンサーが「注意する日本語」』
『明日』『最高値』『日本』『博士』など読み方の区別が必要な言葉や一方の読み方で統一する言葉、『祭日』『法案が成立する』などのアナウンサーが使ってはいけない日本語、『一番最初』や『炎天下の下』『犯罪を犯す』といった注意すべき重複表現を載せている。アナウンサーを目指す人なら暗記は必須だが、雑学や正しい日本語として知っておいてもいい章だ。
●第五章『アナウンサーの「日常」と、会話の達人になる方法』
ここでは、アナウンサーに求められる人物像やアナウンサーの日常について触れている。アナウンサーという職業に興味を持っている人、就職を考えている人はにやりとする内容かもしれない。
総観。
「言葉使いとか言葉選びなんて大ざっぱでいいよ」という人には神経質な内容かもしれないけれど、
日常会話をもっと改善していきたいという人や、仕事などで人前で話す機会が多い人には、もってこいな本と言える。
それに、いくら大ざっぱな言葉使いでもいいと思っていても、知らず知らずのうちに失言をしていたり、反感を買う言葉を使ったり、笑われてしまうような誤用を平然と使ってしまうのは、いい大人になってからは恥ずかしいものだ。知っておくという意味でも、
本書は保存版として持っておいてよい。
なかなか要所をおさえた仕上がりで、読み手の興味を満たすいい内容だったというのが私感。
正しい日本語学習をしたい人の門出にオススメしたい。
評価:★★★★☆
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