絆が切れるんです
内容(「BOOK」データベースより)
あの人の笑顔が、あなたに向かなくなったとしたら大切な人との絆を築き、守り、育てるには―時間もお金もかからない「気づかい」のヒント。
という人に。
友達を作ることには特に困っていないし、現状に不満があるわけではないが、長続きする一生ものの絆はと言われると、そこまで自信がもてないということもあって、書店で釣られてしまった本書。
産業カウンセラーである著者はおそらく人間関係の悩みについて専門的といえるだろう。
章題は以下の通り。
●第1章『幸せは「絆」をつたってやってくる』
『絆』の大切さを説き、切れない絆を築く方法について意見を述べる。本章にもある、「絆は築くのは大変で一瞬で失われる」ということは本書を読む人には重々承知の内容ではないだろうか。
●第2章『「いつも気にかけていること」を伝えてみよう』
相手を常に気にかけることが絆を保つ第一歩。人はどういう風に思われると、この人とはずっと深い絆を保ちたいと思うか、という点が理解できる。言われずとも分かっている人は、なかなか人付き合いのセンスがあるのかもしれない。
●第3章『「なにげない絆」から新しい絆がつながる』
何気ない気づかいということだが、一般的にどういうことをしていれば、その人との関係が上手くいき、続いていくかという社会的常識とも言える部分が多い。だが、こういう何気ない気づかいができない人が多いのが現状である。
●第4章『後悔する前に知っておきたい「絆を失わないコツ」』
絆を失わないコツを教授してくれる。やはり、他人を変えることができないという前提があるためか、自分の考え方を変えてみるようなアプローチばかりである。
●第5章『相手が元気になるメッセージの送り方』
相手が元気になってくれるような言葉や姿勢ができる人はやはり絆を築くことができる。その具体例としてどういったことをすればよいかが書かれている。
●第6章『「プラスの会話」が長く続く関係を作る』
プラス方向の話が続く関係は絆を深める。そういう会話とはどういった内容なのかを説く。『文句ではなくリクエストを言う』の項は、文句が多い自分には参考になる内容だった。
●第7章『「相手が喜ぶツボ」をはずさないヒント』
相手を喜ばせることがやはり絆の秘訣。喜ばせる為にどういったことをするのがよいかも書かれているが、基本的にはそのためのヒントであり、価値観や考え方から教えてくれるような内容が多い。
●第8章『「頼まれごと」への賢い応じ方、断り方』
時に頼まれごとをされることもあるはず。しかし、いつもいつも快く応えることもできないのが現実。いったいどういう応対がベターなのか、断るにしてもどういう断り方がよいのかという点をおさえている。
●第9章『深い信頼と「ちょうどいい距離感」のバランス』
妙に近づきすぎていて窮屈、無理に付き合っている、過干渉、といった具合に何となく過ごしている相手との間に少しずつ亀裂が入る可能性がある距離感の間違い。そういったケースについて例を挙げている。
●第10章『豊かな絆は「幸せな人」のまわりに生まれる』
幸せな人に焦点を当てて、幸せな人の周りの人とのいい付き合いを紹介している。いい絆は幸せな人の周りにあるといった感じだ。
私は遊び友達が多い方だと思うが、一生ものの絆となるかと言うと正直わからないかな、という部分はある。というのも、
本書に書かれていた内容に少しギクリとする部分が多々あったこともあるからだ。
切るべき絆、大切にすべき絆の分別についても考えさせられる内容であり、「あぁ、こういう人とは無理に付き合う必要は無かったんだなあ」と思うこともある。
心理学に長けている著者だけに、相手のことを思った指摘ばかりであり、それが絆に繋がるというものである。
友人や恋愛だけでなく、仕事関係の人付き合いにも活用できる、啓発本であり、身につまされるような事が多く書かれている。経験上、本書の内容を自分の哲学で確立している人も多いだろう。実際、私自身心がけている部分もあった。
著者が伝えたいことがしっかり伝わってくる上、うまくまとめられ、的を射ていると思った良書。
私の友人にも読んでもらいたいような納得の内容だ。
一つ言うなら、タイトルの『たった一つの習慣』の『たった一つ』という点が全く分からないが、出版社側の販促用の意向であって著者に悪気はないはず。
評価:★★★★★