忍者ブログ
本、音楽、ゲームなどの書評、感想をネタバレしない程度に書いていきます。詳しくは『このブログについて』をご覧下さい。 貴方のインドアライフに役立てば幸いです。
プロフィール
HN:
エリシオ
性別:
男性
自己紹介:
読書とゲームと投資に明け暮れる、インドア特化型なしがない社会人
カテゴリー
リンク集
当ブログは、リンクフリーです。 相互リンク大歓迎です。 相互リンクを希望の際は helissio5963(アットマーク)gmail.com まで。アットマークは手動入力してくださいな。
ランキング
気に入ったらPlease Click!
人気ブログランキングへ
最新CM
[08/16 エリシオ]
[08/13 古宮昇]
[08/01 エリシオ]
[08/01 秋津学]
[11/22 エリシオ]
最新TB
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

幸せを求めるのではなく、今が幸せだと思え


今の幸せに満足できるたった1つの法則 (ロング新書)
内容(「BOOK」データベースより)
「足るを知る」を知ればいいことがたくさん起こってくる。








欲をかけばきりがない。今の人生が幸せだということに気付くことが幸せの第一歩的な内容だろう、と思いながら手に取ったこの本。たしかに、病気の時に健康のありがたみを実感するように、幸せなことに鈍感になっている節があるのは否めないなあ、と我ながら思う。
実になんとなくそういった共感もあって手に取った本である。

章題は以下の通り。


●第1章『ちょうどいいバランスで生きていく』
昔話、説話などから例を挙げ、『足るを知る』という幸せの原則について説く。正直、『足るを知る』の意味を知れば、あとは同じような内容ばかりであり、とにかく謙虚であること、という事に近い。少しくどい。つまるところ、欲を捨てて聖人になれば幸せであるといわんばかりである。「無欲であれ」というわけではなく、「分をわきまえろ」といった見解が多いが、その自分相応を模索するチャレンジ精神、欲を満たす為に自分の可能性を試している人は不幸であるというくくりでよいのだろうか。
『自分の身分に合わないプレゼントは断るのもよい』というようなことも書かれているが、その人が詐欺師でもない限り、受け取らなかったことに後悔し不幸を感じる人の方が普通ではないだろうか。
あまりに極論じみていて、私は聖人でもないので同調できない。

●第2章『欲張り過ぎると、すべてを失う』
「欲張らず前向きに生きる」といった具合の内容か。楽観的に生きることが幸せの道という点は同意するが、やはり同調できない部分は多い。
『押し付けられた欲と自分本来の欲』の項で、前の章で欲に関して反感を抱いた部分はやや払拭はされるも、結局、自分本来の欲とは押し付けられて生み出された欲と共通していたりするので「じゃあかいてよい欲とは何?」という気分になる。心理的に「他人からよく見られたい」というのは人間として当たり前のことであるゆえに上記の項は結局納得に至らない。
『自分の能力以上の頼まれごとを断る』という点も、自分の能力がわからないのが普通だ。また、「ストレスは自分では気づきにくい」「ここで断ればどうなるか不安」という点も考慮するならば、「自分の能力以上の頼まれごとである」と思って何でも断って幸せというわけではないはずだ。逆に、この言葉に甘えて断りすぎていては、社会人として仕事も勤まらないだろう。
一方、『欲張らない』というよりは『自分に正直になって行動する』というアプローチを示しているような項は同意したい。人間、無理は禁物で、いつか溜まった疲労、ストレスや鬱憤が爆発してしまうことは重々承知である。また、前述した前向きに楽観的に考えることで幸せを感じるという点は全面的に同意である。

●第3章『目の前にある幸せを大切にする』
ここでこれまた『欲をなくすのではなく、欲を少なくする』といった上記の私の意見に対する反駁めいたことが書かれてはいるが、一体何がいい欲なのかという点が決め付けられているような気がしていい気がしない。
また、他人と比較してしまう人に対するアドバイスに『自分の持っているものを大切にする』というものもある。たしかに、自分には何も無いと自虐している人以外には大方通用する幸福論であり、こちらは納得できる。

●第4章『人にやさしくすると救われる』
『情けは人の為ならず』ということわざがあるが、本章に書かれているのはもっと聖人向けだろう。東洋思想に詳しい著者ならでは提唱だが、物語や逸話を布教しないでほしいというのが本音である。「稼いで余ったお金は寄付しろ?さすれば救われる?」現実にそんな物語に出てくるような人の助け合いが存在するというのは信じがたいし、それをモットーに人生を楽しむことはそれこそ宗教に入信でもしない限り、生活に対する不安などで押しつぶされると思えて仕方ない。
私の想像ではあるが、寄付の話は一部の富豪でかつ本書に書かれているような思想の持ち主であって、普通の生活を送っている人物にはまったく縁もなければ、寄付すればするほど生活を圧迫し、精神的余裕を失うにちがいない。
『無財の七施』という思想については素晴らしいとは思うが、それ以前の問題として『自分のことばかり考える』ということがそれほど悪いこととは私は思わない。たしかに、自己中心的で自分本位であるという意味ではよくないが、自分の幸せや自分で自分を愛すること、自分の所有物とその価値について考えていくことは決して悪いことではないはず。それをできずして、「他人にお布施をして私は幸せだ」などと思うのは大幅な改宗が必要だ。

●第5章『求めすぎないから求められる』
求めすぎないことの薦め。欲とはまた別に、何かを求めるということをやりすぎると身を滅ぼしかねないということが書かれている。この章については賛成できる部分が多い。どちらかというと、自分の欠点に気づかせる部分や自分のやっていることに疑問を抱かせる部分、自分を無理に動かしているやめるべきことを、教えてくれるような内容。
自分がやりたいようにやっているから幸せなんだという人は、本章は不要とは思うが、そういう人はそもそも本書を購入していないだろう。

●第6章『欲で人を見ると関係は生まれない』
まさに自分のような人間のために書かれていると思うほど薬になった章。他人に求めすぎてストレスを溜めていないか、他人に何かを強要していないか、自分が思う相手の在り方、認識はこうあるべきであるといったことについて書いている。友人や恋人など仲の良い人に対し、イライラすることのある人にはこの章は心に残るだろう。

●第7章『ものの価値より心の豊かさ』
お金やその使い道などお金と贅沢について述べている。大方いいことが書かれているが、一つ気になる点があった。
というのも、『宵越しの金を持たない』という項のことだ。「現代人には無理かもしれません」と著者は言っているが、普通に考えて無理です。そもそも日ごとに給料をもらうこと自体稀有な例。豪勢な生活を求めるのではなく、今の生活に満足するという点では幸福論として賛成だが、他の項とやや矛盾している感じもあり、こういう不純物を混ぜられると読者としては混乱し、本書に対する信頼性を失ってしまう。

●第8章『笑いで心も体も健康』
『笑う門には福来る』という言葉があるように、本章では笑うことで心や体の健康を保つと説く。また、『足るを知る』の精神で心身の安らぎを与えるという点で、今までの内容をまとめるような項がある。全面的に賛成だ。


『足るを知る』という価値観で幸せを感じようという主旨の本である。賛同できる部分はあるにはあるが、特に前半部の東洋思想や昔話などの押し売りは個人的にかなりマイナス。いい話と現代社会の日本における現実を一緒くたにして考えて欲しくない。いわば、理想論を一般論のように語る感触がした。

しかし、後半はなかなか的を射ていて、骨身に沁みる内容。古典から引用している部分の方がかえって説得力を無くしている感じがあった。できれば、著者の言葉で敷衍した内容だけで充分だったように思える。


評価:★★★☆☆

今の幸せに満足できるたった1つの法則 (ロング新書)
「今の幸せに満足できるたった1つの法則 (ロング新書)」
 [単行本]
 著者:植西 聰
 出版:ロングセラーズ
 発売日:2011-09-25
 価格:¥ 840

 
 
PR
お名前
タイトル
文字色
URL
コメント
パスワード
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事にトラックバックする:
Copyright © めざせインドアマスター All Rights Reserved
Powered by ニンジャブログ  Designed by ピンキー・ローン・ピッグ
忍者ブログ / [PR]