よい。
内容(「BOOK」データベースより)
「文章を書く」とは、長い間の記憶から体験を引き出して描写することだ。自分にはそんな特別な経験はないと考える人でも、うまい引き出し方さえわかれば書ける。また、伝わる文章にしたいなら、くどくどと説明してはいけない。とにかく描写せよ。細部に目をこらして書けば、真に迫る。たとえばさびしい気持ちなら、「さびしい」と書くな。さびしさを表わす「物」を描写してそれを伝えよ―ベテラン記者で名コラムニストの著者が、ありきたりにならない表現法から、書く前の構成メモ術まですぐ使えるコツをやさしく伝授。
文章読本のような、文章力を磨く系の本は買ってから積み本にしているものばかりだが、立ち読みして気になったのが本書。
少しページをめくってみると、なかなかクリティカルにまとめている印象が強かった。
全体としては、
作文教室や文章を題材にした授業であり、作文やよい文章についての質問に対する回答をまとめたもの。
実践問題もあり、読者も積極的に参加できる内容となっている。
章立ては以下の通り。
●第1章『記憶を描写してみよう』
何がよい文章か、何を書けばいいのか、どういう考えで組み立てればよいのか、といった具合に質問に答える。
章題からわかるように、記憶から描写するのが一つのポイント。独自の視点から描くためにどのように情報を集めていくかも例が書かれている。
『観察力をどう養うか』『描写と説明の違い』の項は特に勉強になった。
●第2章『伝わる文章の秘密』
前章ではアイディアの出し方を述べているが、ここではそれをどう伝えるか。うまく読者に伝えるにはどういった文章を書けばいいかが書かれている。『人プラス物』『五感の活用法』『擬音語と擬態語』などはとても参考になった。
●第3章『そもそも書く手順とは?』
起承転結のような構成、過去・現在・未来といった時間、それに興味を引く文章のコツ、といったことが書かれている。
●第4章『文章はこう直す』
『「思う」「考える」「感じる」を減らそう』『テンの打ち方』など、書き終えた文章の直し方が書かれており、推敲の手順や具体的な内容もまとめられている。文章を書くことにはさほど苦痛を感じていない私としては、本書の中でもっともに勉強になった章かもしれない。
全体的に、
著者が具体例として挙げる、作文教室の生徒の例や有名作家の作品内からの引用が説得力たっぷりで参考になる。
読み終えて、文章を書く力は備わったとは思うのだが、やはり継続しないことには意味がなさそうである。
本書を読み返すことで、またどういったことに意識を向ければいいか復習できそうな内容である。
作文が苦手、小説を書きたい、といった人にはうってつけの一冊。
評価:★★★★☆
近藤 勝重
幻冬舎
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