こいつ、最高だわw
内容(「BOOK」データベースより)
世間から軽蔑され虫けらのように扱われた男は、自分を笑った世界を笑い返すため、自意識という「地下室」に潜る。世の中を怒り、憎み、攻撃し、そして後悔の念からもがき苦しむ、中年の元小官吏のモノローグ。終わりのない絶望と戦う人間の姿が、ここにある。
新潮社版を読みました。
本の薄さとは裏腹、すごい濃い内容が待っている。
読みながら感じたことは、「このダメ人間、俺と同じくらい捻くれた思想持ってやがる……」と。
それほど達観した私ではないので、おこがましいかもしれないが、妙に共感できることが多い。
しかしまぁ、モノローグっていうスタイルの小説、もはや手記であるこの作品。訳というか話の辻褄を追うことが難しかったのだが、それよりも先に面白いが立つ。
偉大な先人作家がこんなことを考えていたとは、と思うと、逆になんだか救われた気分にさえなる。
『罪と罰』は長いし、敷居が高いぜ。て思って手に取ったが、これはなかなかの良作。
訳されている点から、いまいち釈然としない部分も多かったが、それでも読み切れる魅力があった。
作者と登場人物の思想、哲学、当時の時代背景などを絡めた評論ができる私ではないので、この辺で失礼。
古典新訳版もあるが、訳されすぎていて原作を逸脱しているという意見もあるかもしれない。
評価:★★★☆☆