子育てってつらいよね……
内容(「BOOK」データベースより)
赤ちゃんの脳科学の研究者であり、日本赤ちゃん学会の理事長も務める著者の本分は小児科医。現場での数十年の経験と最新の学説から、子どもの脳によくないこと、やっても無意味なことをわかりやすく伝授。触覚による認識を邪魔すること、早期教育、父親の影響…。わずかな注意点、正しい知識を知れば、子育てはぐんと楽になる。さらに望ましい子育てとして、「自分で考える子」に育てるためのヒントも掲載。
この本を読んで楽になってください、といった感じの内容かなぁ、と。
子育てと全く縁のない私だが、大学時代教育学に触れていたこともあり、また甥が生まれたこともあって、少し勉強してみようという現状。
それにしても、子どもというのは恐ろしい。私たち大人のやっていることをいつも見ていて、それを自分のものとして取り入れようとしている。気づかないうちに誰かのやっていたことを真似したりするようになる。
そんな子どもの育て方について赤ちゃんの脳科学に詳しい著者の高説を拝聴しようと思った次第だ。子育ての悩みをたくさん聞いてきた著者の言葉はとても為になると思われる。
章立ては以下の通り。
●第1章『妊娠中・授乳期の子育て』
母体が胎児に与える影響などを風説や持論を交えて研究内容を論述している章。『お腹の中にいるからと言って、母親と胎児は一心同体ではない』という発想を始め、赤ちゃんの触覚に関する内容は言われてみれば納得できる、とても勉強になる点だった。
また、
全体的に、妊娠中・授乳期の母親に対するケア・アドバイスが主となっている。
●第2章『幼児期の子育て』
ここでは、
赤ちゃん・幼児期の子どもとの付き合い方と教育のあり方について述べている。具体的には、おもちゃの扱い方やテレビ等を見させることの教育的な影響、抱っこのしかた、食育、睡眠リズムなど多岐にわたるボリュームもあり、本書のメインとなる部分だろう。母子家庭や暴力や虐待といったケースにも触れており、
子どもの育て方や成長への影響について考察している。
●第3章『しつけ、学習に関する注意点』
ここでは、
しつけや学習させることについての注意点を述べている。脳神経に関連する専門性に富んだ学術的解説も交えながら展開している。
●第4章『望ましい子育て』
最後に、著者からの子育てのアドバイスをまとめている。
『先回りや後追いをしないこと』という点は、自分としてはとてもやってしまいそうなことなので、今後機会があれば肝に銘じたいものです。
全体的に、数ある育児書などで取り上げられる子育て論に科学的根拠がないものを挙げ、「育児とはこういうもの」と断定せず「人それぞれ」「子どもによってまちまち」といった具合の無難な教授。
要点としては『子どもを観察する』といった部分に重きを置いており、『これはやっちゃ駄目』といった事柄は数点しか指摘していない。
結局、その数点が本書のタイトル『子どもの脳によくないこと』になるのだろう。
他には、子育ての苦労に対するアドバイスや子育ての楽しみ方、母親や父親のあり方といった成分が強い本だった。
肩肘張って、忠実に育児本を実践しようとしている親、子育ての方法に悩みストレスの溜まっている親に良い処方箋になりそうである。
評価:★★★★☆