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壮大・緻密・ド迫力


ジェノサイド
内容(「BOOK」データベースより)
急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人は、その不可解な遺書を手掛かりに、隠されていた私設実験室に辿り着く。ウイルス学者だった父は、そこで何を研究しようとしていたのか。同じ頃、特殊部隊出身の傭兵、ジョナサン・イエーガーは、難病に冒された息子の治療費を稼ぐため、ある極秘の依頼を引き受けた。暗殺任務と思しき詳細不明の作戦。事前に明かされたのは、「人類全体に奉仕する仕事」ということだけだった。イエーガーは暗殺チームの一員となり、戦争状態にあるコンゴのジャングル地帯に潜入するが…。



数々の読者から大賛辞を受けている様子だった話題のこの本。『13階段』が個人的にツボだったこともあり、こりゃ読むしかないな、と。
開いてみるとこれまた字が小さい。この分厚さでこの文量、大ボリュームが保証された。

いきなり、某国大統領だの特殊部隊だのアフリカの内紛だの、ワールドワイドというかスケールのでかい内容で始まる一方で、日本の大学院生のパートもある、今後の絡みが気になる展開。タイトルから何となくどんな話か妄想することはできるが、このスケールのでかさは壮大なストーリーを期待せざるを得ない。

薬学に関する多大な知識。軍事・紛争を散りばめた文章上からでも迫力ある展開が序盤から受けた印象だ。
何が起こっているのかという点が徐々に明かされていく感覚は、この分量の長編ならでは。
早く何か起こってくれ、と思いながらも、緻密な設定や伏線に目を凝らしながら読み進めていく。

そして、帯の売り文句にも書かれていたが、大ボリュームでもツルッと読める面白さがあったのは誇張ではなかった。私は寝る間を惜しむほどではなかったが、ぐいぐい吸い込まれていつの間にか読み終えていた。


細部に関して。

不意に次の行で過去の回想が始まり、数ページ続いたりする点は若干読みづらさを感じた。細かいところではあるが、一行間をおいてくれると嬉しいなあと。
また、「必要以上じゃないの?」と思うくらい創薬の専門的な話も同様に、読みづらくテンポの悪さを感じることもあったが、個人的には許容範囲。

高野和明氏の作品に触れるのは二度目なので断言はできないが、エンタテイメント小説の本筋と社会派の一面を併せ持つ作品を書くのがこの著者の特長なのだろう。作者の訴えがひしひしと伝わる。
それだけならいざ知らず、前述したとおり、本作はとてつもなくスケールの大きい話。地球規模、人類の存亡をかけたといってもいいハリウッド映画よろしくな内容だ。こんな作品はありそうで、なかなか小説ではお目にかかれなかった。きっと収拾が付かなくなるか、B級映画のようなチープな展開や結末になってしまうからかもしれない。
こういった難題を題材にし、どんな結末が待っているのかを予想するのは読者には不可能。ただただページをめくるのみだ。

登場人物を取り巻く不穏や見落としを匂わせる表現など、ミステリー要素もあり、ただのドキドキハラハラどうなるの?という展開だけではない。
そして、巻末には相変わらずの出し惜しまない参考文献の披。この作品を生み出すのに作者が何を読んだのか、とても勉強になる。

評価は満点!と行きたいところだったが、読後感がさっぱりしすぎていたのが個人的に悲しかった。完全に好みの問題ではあるのだが、このスケールのでかいストーリーだと、エピローグにもう少し後日を匂わせる文が欲しかったかなあ、と。
またもう一つ、「ならお前が考えてみろや」と言われるような指摘だが、読後にもタイトルに帰結する感触が欲しかった。どうも話の主眼とやや外れたタイトルな気がする。

正直言って、ハリウッド映画化も夢じゃない、そこら辺のSF映画を凌ぐ出来だと思う。そして、現実でも起こってもおかしくない、と思わせるほどの説得力を放つ力作だ。実際にこうなったら私たちはどうするのか。そんな思いで一杯になる作品だった。
壮大なエンタテイメント長編が読みたい方は是非読んでほしい。


評価:★★★★☆

ジェノサイド
「ジェノサイド」
 [単行本]
 著者:高野 和明
 出版:角川書店(角川グループパブリッシング)
 発売日:2011-03-30
 価格:¥ 1,890
 
 
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