このバカップルと言ったら……
内容(「BOOK」データベースより)
教会都市リュビンハイゲンを出立した行商人ロレンスと狼神ホロ。行商がてらホロの故郷ヨイツの情報を集めるため、冬の大市と祭りで賑わう町クメルスンにやってきた。そこで二人は、若い魚商人アマーティと出会う。どうやらアマーティはホロに一目惚れをしてしまったらしい。急速に彼女に近づき始めた。一方ロレンスとホロの間には微妙な気持ちのすれ違いが生じ、誤解が誤解を呼んでしまう。そしてそれがロレンスとアマーティそれぞれの商売をも巻き込んだ大騒動へと発展していく―。第12回電撃小説大賞“銀賞”受賞作第3弾。
狼と香辛料、という二つの一見繋がりのない単語を『と』で繋げることで、気を引いて本を手に取らせる典型例のこの作品。
今回もまた経済で押してきます。というか、それで押されないとただの萌え系ファンタジーに成り下がります。
前半こそ、バカップルのやり取りが続くだけで、緊張感のない内容だったが、後半になってようやく物語が加速。そこからが面白い。
巧妙な相場のやり取りは、手に汗握る展開だった。
一筋縄ではいかない感触と、その絶望感。そして、意外な打開策と納得の伏線といった典型的良作のテンポではないだろうか。
最後も上手くまとめちゃってて、いやぁ万々歳! なんて言いたいところだけど、被害を被った相手がかわいそうになったりする。商業の世界は厳しいね。ハハハ。どちらかって言うと、女の取り合いだけど。
ネタ切れしてただの萌え小説にならず、今のクオリティを維持している限り、読んでいける作品だ。
評価:★★★☆☆
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