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怪異を巡る非日常の中の青春


内容(「BOOK」データベースより)
阿良々木暦を目がけて空から降ってきた女の子・戦場ヶ原ひたぎには、およそ体重と呼べるようなものが、全くと言っていいほど、なかった―!?台湾から現れた新人イラストレーター、“光の魔術師”ことVOFANと新たにコンビを組み、あの西尾維新が満を持して放つ、これぞ現代の怪異!怪異!怪異。



西尾維新と言えば、ラノベをかじった人ならば誰もが聞いたことがあるような名作家の一人。
私が彼の作品を読むのは、これが初めて(以前、別の書籍を購入して挫折したのを除き)だった。

文体、設定の独自性は、奈須きのこ氏と同列に挙げられるくらい賛否両論。
私見としては、表現が回りくどい。というか、いちいち洒落た言い回しで格好を付けた印象がある。
小説において端的な表現が良いというわけでは決してないが、これを作者のエゴと取るかどうかが好みの分かれる点であると思う。

昨今のテンポの速い小説を理系作家の傾向的小説とも汲み取るようだが、この著者の場合はその真逆。文系的である。また、文系的と言っても、風景、情景を趣深く描くのではなく、登場人物同士の会話が焦点。行動理念、信念、性癖、嗜好、感情表現、知識、境遇などの個性は全て会話で表現されていると言っても過言ではない。
感情移入の鍵はそこにあるので、これについて来れるか否かではないだろうか。

また、ライトノベルの中でも最たる尖った設定(名前や性格など)も人を選ぶだろう。
ちなみに、講談社BOX出版なので、装丁が(無駄に?)豪華な分、値が張る。挿絵はほぼ表紙のみです。


さて、その内容。
私は、化物語というタイトルから、怪異をテーマにした怪談サスペンスみたいなものかと思っていた。
話の大筋はその通りではあるが、其の実甘酸っぱい青春を描いている小説である。


怪異を巡るストーリーは決して浅いわけではないが、大半が(冴えない?)主人公と個性的なヒロインたちとの会話が主体の、いわゆるギャルゲームのステレオタイプに似た作品だった気がする。
日常的な恋愛のやりとりを描く青春ものは、一般小説に任せておくとして、日常とは少しずれてしまった状況での男女を描くものとしては、成功していると思う。

また、個性の強い登場人物とのやりとりは、キャラクター小説の完成形の一例を見た気がした。


文章は先にも述べたが、少々間怠っこい。怪異を巡る話を淡々と端的に進めていくだけならば、文章量は三分の一にはなりそうな気がする。
とは言え、主人公やヒロインの設定や会話を巡る微々たる心情の変化や、伏線の絡め方から見るに、この構成は至って順当。多少おふざけが過ぎる点は御愛嬌。
ボキャブラリーの少ない私としては、言葉遊びが巧みで、同音異義、類義語、洒落や(わざと)間違えた用法を駆使した笑いの取り方は、素直に尊敬する。もっとも、それを素直に面白いと感じるかは読者次第だが。



中身はこの上巻で、短編3つが収録。
短編ごとに怪異に遭遇してしまったヒロインが一人ずつ、といった具合。
各々の感想は↓。



・ひたぎクラブ
スタンダードな怪談話。この作品の世界観に引き込むにふさわしい、とっつきやすくわかりやすい話。これが合わなければ、この作品は合わないかも知れない。(ヒロインが嫌い、といった理由は別として)

・まよいマイマイ
大方、女の子との会話だけで済まされるところに苦痛を感じるかも知れないが、それがまた青春の一ページとして読者を移入させる要素でもある。
展開こそ少ないが、会話の所々に伏線や設定回収もあり、無駄なようで無駄話ではない。
ラストのオチもなかなか面白く、読み直す価値も無くはない。その際は、登場人物の心情を思い浮かべながら、読むと一層面白い。

・するがモンキー
『まよいマイマイ』と打って変わり、戦闘シーンもあるアクティブな話。スピード感と臨場感、心境などの表現はやはり上手い。
オチに関しては、はぐらかされた気持ちもするが、セオリー(私の中での)から外してくる感じは個人的に悪くはない。
話全体としてもしっかりしているが、読み終わってから章題に疑問を持ったり。



人を選ぶ作品というのは、間違いない感触だが、私はこの本はつるっと読み終えることが出来た。
続いて、下巻にも取りかかろうと思う。

非常に満足感(というより満腹感)はあるのだが、「おお!」といった感動がイマイチなかったので、評価はこの程度で。
この辺は、完璧主観ですのであしからず。


評価:★★★☆☆

化物語(上) (講談社BOX)
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 著者:西尾 維新
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