良くも悪くも普通のファンタジー
内容(「BOOK」データベースより)
高校生・阿良々木暦は、ある日、血が凍るほど美しい金髪の吸血鬼と出遭ってしまった…!?彼女がいなければ、“化物”を知ることはなかった―『化物語』の前日譚は、ついにそのヴェールを脱ぐ。
本作『こよみヴァンプ』は、前作、化物語の前日譚。
主人公、阿良々木暦がいかにして吸血鬼もどきになってしまったか、そして、前作の忍野忍はどうしてあの状態なのか、といった部分が語られる作品。
期待を裏切らないストーリーではあるが、いい意味で裏切ってもくれなかった普通のファンタジーといった感想だ。
オチについては、よい感じに悲劇として終わらせてはいる。
が、道中がどうも味気ない。
学園異能バトル、と作品内の主人公が自分の現状をあてこすっているが、実際その通りであって、かと言ってこれといった斬新さもなく、バトルものお約束の展開というのもいただけない。
また、不死(限度があるとは言え)という設定で、戦闘の結果が予測しやすくなり、どうも緊張感を削いでしまう。
一方で、化物語のようなマシンガントーク合戦もそれほどなく、著者お得意(?)の会話活劇も薄かった印象。
あと、今更ではあるが、ヒロインの貞操感には抵抗を感じてしまう。小説にはほどよいエロスがあって当然ではあるが、どうも展開的に無茶がある・・・。まぁ、そこは突っ込むべき点ではないのだろうけど。
結果、普通。といった感想。
あとがきにもあるが、化物語を見ずとも、本書から読み始めて構わない内容ではある。
だが、その場合は、読者が引きつけられる点が薄い気がする。
評価:★★☆☆☆