ズルい人間になれば世の中楽になる
内容(「BOOK」データベースより)
「世間一般のつまらない道徳を否定し、目的のためには手段を選ぶべきではない」としたマキャベリ。その「弱肉強食」の思想は、競争原理に突き動かされ続ける現代人こそ、参考にすべきものである。ズルさとは賢さの証明であり、すなわち社会的知性の証明なのだ。気鋭の心理学者が教える、本当に役立つ「生きる技術」。
コンビニで見かけて、これまたタイトルを見て「これだ!」と釣られて手にとってしまった本。
見てみたら、
心理学関連の自己啓発書籍で散々お世話になっている内藤誼人氏の本であった。あまりにこの人の本を購入していることと、内容が重複しがちな傾向を考えて購入を控えようと思ったのだが、「どうも自分は他人に比べて無駄にマジメかもしれないなぁ」とか「社会人になってからというもの、正直者がバカを見る世界だよなぁ」とか常々思うようになったのもあって、購入。
まえがきにもあるが、まさに先述したようなことを思っている人をターゲットにしており、本書は心理学的な証明だけでなく、かの有名なマキャベリの君主論でも述べられているような内容のようである。そういう後ろ盾もあってか、心理学では本書で述べられるズル賢さは『マキャベリ的知性』というらしい。
章題は以下の通り。
●第1章『ズルさとは知性である 戦略とは汚いものである』
『手段や人格はどうでもいい!「勝てば官軍」である』『成功する人はルールや決まりを守らない』など、人生はズルく生きたものがうまくいくといった内容。少し極論じみていて受け入れられない部分が多いが、『善人では生き残れない』『世の中はカネだ!』『まずは「その他大勢」から抜け出せ!』といった部分は個人的には賛成である。
●第2章『いかさま営業術 したたか交渉術』
いかさま営業術なんて書いているが、人の心を動かす説得術、交渉術という観点ではとても理に適った方法論を説く。心理学の実験でも立証されている、人の心を動かす方法がこの章に書かれている。有名な通信販売番組の話術でもこの章に書かれているようなテクニックを駆使していることがわかる。
また、言葉に限らず、仕種、距離など言外での立ち回りも重要だと知らされる。
●第3章『だましの暗示術 腹黒ハッタリ術』
章題の通り、基本的に暗示を用いた会話術が書かれている。暗示関連の書籍でよく見られるものがざっと書かれている印象。真新しさこそないが、言葉を選ぶことの威力を痛感できる。
●第4章『抜け目ない立ち回り術 タヌキ親父の処世術』
主に仕事場での立ち回り術。あの上司、あの部下をどうしたら動かせるか。どうしたらよい評判を獲得できるか。といったことを書いている。
●第5章『まやかしの自己演出 えげつない舞台演出』
外見、場所、音、時間などを用い、自分に有利な舞台を用意することを教えてくれる章。心理学的に有利な立場を築くためにどうすればよいのかを書いている。
まず
注意したいのは、やはりこの著者……他書でも書いた同じような内容の焼き増しが多い。多くの著書と出版のペースを考えると仕方がないのだが、この著者の本を読み慣れている人は注意して欲しい。見たことのあるような内容が多い。
それに、本書はコンビニに売られている程度の本ということもあってか、心理学的な部分を端折っている。たしかに、少しは実験結果や心理学用語を用いはしている部分はあるが、あくまで一部分。軽く読めるというコンビニ書籍らしさに沿った内容だ。
社会の厳しさに揉まれ、ちょっとした救いを求める感覚で読んでみるにはいいかもしれない。
評価:★★★☆☆
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