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聖女の救済だってぇ!!


聖女の救済 (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
資産家の男が自宅で毒殺された。毒物混入方法は不明、男から一方的に離婚を切り出されていた妻には鉄壁のアリバイがあった。難航する捜査のさなか、草薙刑事が美貌の妻に魅かれていることを察した内海刑事は、独断でガリレオこと湯川学に協力を依頼するが…。驚愕のトリックで世界を揺るがせた、東野ミステリー屈指の傑作。






私も救済して欲しいところです。いや、特に深い意味はないけど……。

久しぶりに読む東野圭吾作品。ガリレオシリーズである。
開始30ページほどで殺人が起きるテンポの良さは相変わらず。動機は言わずもがなな容疑者には完全なアリバイがある、という状況だが、開始早々殺人のこのペースで、約400ページもある本作にどのような展開が待っているのか、不謹慎ながらわくわくである。

ただの殺人事件とその解決と言うだけでなく、捜査の障害たるものが本書には存在する。
それは、刑事草薙が、十分な動機をもちうる妻に恋をしていることだ。彼女には鉄壁のアリバイがあるので、犯人ではないと信じたい草薙の贔屓目が捜査を妨げるということで、ガリレオこと湯川学の登場である。

推理小説の定跡的に、これで妻が犯人じゃないなんてことは、叙述トリック的なものじゃないとありえないだろ、と考えながら、漠然と推理しつつ読み進めていった本作。
最近私は、ミステリーといってもライトな雰囲気のものばかり読んでいたので、東野圭吾氏の本格推理系は別の面白みがあり、入り込んでしまった。

そして、結末。
ややネタバレかもしれないが、恋する草薙と冷徹なガリレオのそれぞれ違った観点からの捜査が事件解決に意外な形でつながる。
トリックは意外とまではいかなかったか。ごり押しな感触。読んでいる途中で、正確にとまではいかずとも何となく勘付いた説が正解だったので。
ただ、人間の心の描き方や理論派の探偵ガリレオの思考法は「さすが!」と言いたい
そして、やはり読後にタイトルに帰結する感触は、完成度の高さを物語る

『容疑者Xの献身』と比べると、見劣りする。というのが私的な感想である。


評価:★★★☆☆

聖女の救済 (文春文庫)
聖女の救済 (文春文庫)
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東野 圭吾
文藝春秋 (2012-04-10)
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