本物と全く同じ偽札が出回ったら……
内容(「BOOK」データベースより)
『週刊角川』記者・小笠原は途方に暮れていた。わずか2日で、コンビニの弁当は数千円から数万円に、JRのひと区間は九千円以上になり、いくら金があっても足りないのだ。従来のあらゆる鑑定をクリアした偽礼が現れ、ハイパーインフレに陥ってしまった日本。だが、まだ万能鑑定士・凛田莉子の鑑定がある!パーフェクトな偽礼の謎を暴き、未曾有の危機から国家を救うことができるのか!?書き下ろし「Qシリーズ」第2弾。
日本は終わりです。
第一巻と続けて一日で読み切ってしまったほど、サクサク読める本作。
前巻の凛田莉子の鑑定眼によって日本の危機がなぜ起こってしまったのか、というところから始まり、偽札だらけのハイパーインフレが日本を覆う恐ろしい時代を描いている。
・・・のだが、世間のパニックはともかく、政府や警察などの公的機関、マスコミの動きは幾ら何でもひどいんじゃないだろうか。まぁ、小説ですからある程度のつじつまが合っていればそれでいいのだが、最後まで読んでみた感想は『いやぁ、
スケールのでかい話だけど、ちょっと無理があるよなあ』という感じ。
まぁ、筆者もその点分かって書いているので、フィクション作品に現実味どうこう言うのは駄目でしょうけど。
しかし、伏線の置き方やら、徒労に終わる捜査の描き方に鑑みても、もうちょっと何とかならなかったのだろうか、という印象。名状しがたいスッキリしなさというか、アンフェアーというかを感じた。とにかく結末は私的には少し残念だった。
とは言え、
凛田莉子の鑑定眼という点では、この作品は素晴らしい。作者の取材能力が輝いているのか、「そんなこと知らねえ!」ということばかりで、
知識欲を満たす点では読んでいて面白い。
また、莉子の故郷、沖縄の地域性がよく描かれているなぁ、と思う。なかなか筆力のある著者だと思うのだが、鑑定面以外のストーリーは少し期待外れ。
苦言を呈したが、あくまで結末を見ての感想。
読んでいるうちはハイパーインフレの惨状や「え? 何がどうなってるの?」といった部分が多く、なかなか面白かったと言える。
評価:★★★☆☆