労働者よ、立ち上がれ
内容(「BOOK」データベースより)
オホーツクのソ連領海を侵して蟹を捕り、缶詰に加工する蟹工船では、貧困層出身の人々が奴隷のような過酷な労働を強いられている。船には海軍の軍艦が寄り添い、この搾取が「国策」により行われていることを示していた…。「ワーキングプア」の文学として脚光を浴びる、日本プロレタリア文学の金字塔「蟹工船」。小林多喜二虐殺後、遺作として発表された「党生活者」。新たに雨宮処凛による解説も加えた、文字が読みやすい新装版。
蟹光線ってどんな光線だよ(笑)と思っていたのも懐かしい思い出。語感で、紙風船の親戚と思っていたことは内緒。
さて、そんなタイトルからの勝手な誤解も、紐を解いてみれば至って大まじめな文学作品。義務教育で習った記憶がわずかに蘇る。そう、これは
プロレタリア文学だ。
蟹工船は夢と希望に満ちあふれる旅客船、なわけなく、
劣悪な環境で過酷な労働を強いられる労働者が地獄のような生活を体験する漁船。主眼となる、働く物に与えられるべき権利、社会主義・共産主義について考えさせる点もさることながら、やはり
その表現の生々しさは学校教育で紹介されて然るべき作品と言える。
遙か昔の作品、名著ということもあり、ネタバレしますが、
漁船を統括する監督は高みの見物な一方で、家畜同然の扱いを受ける労働者という理不尽な構図の蟹工船での仕事。その中で、労働者が苦痛や絶望感から、互いに協力し合い、自分の立場に疑問を抱き、反骨心を高め、主張をする。
この話は、我々働くものとしては必読書と言っていい。指導する側、管理する側である企業のお偉方もこうならないよう配慮が必要だ。法律無視なんか当たり前のブラック企業の方も、これを読んでみることで、行動に移すかはともかく一考の余地は無いだろうか。まぁ、読む暇なんかない、考える暇さえないくらいだからブラック企業な訳だけど。
閑話休題。
こんなプロレタリア文学を代表する名著を読んでおきながら、この程度の感想でよいのだろうか少し不安だ。もっと深い何かを読み取れるのかもしれないが。
労働者の権利!なんて堅い書物を読むよりも、小説でさくっとどういう物か分かりたい人にはこの本がよいだろう。
余談だが、やはり注釈がなければいろいろとわかりにくい部分が多いなあ、と思う。時代が時代なんで、価値観だとか物の扱いとかで現代の常識と少しずれていることもありそうだ。
本書には『党生活者』も収録されているが、感想はまた後日・・・あるかなぁ。
個人的に、プロレタリア文学の代表作としてなら納得だが、文学史に残る名作かと言われると怪しい。
なんかこんな文学作品の評価とか難しいからとりあえず3って感じで申し訳ない。
評価:★★★☆☆